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矢追「ネタ切れしたから抱き着くね!」

ここしばらくプロフィール画像を1ヶ月感覚くらいで書いていましたが

この
パターン

ネタ切れしました

どうでもいい話
この髪のツヤの書き方、はじめに白の太い線を一本書いてから消しゴムツールで消していくんですが、これをはじめて見たのがお○のひとしの漫画だったので、この手法を自分の中で勝手に「オギノ式」と呼んでいます。体温はかったりはしないです。


あ、一個前のハネルの絵、携帯からも見れるようにしました。そんで更にもう一個前の、書きかけて非公開にしてた記事を公開してます。
よかったら見てねっ///

ハネルかいたよー

おっきいの

濃い色の塗りめっちゃがんばったんやで・・・!

実物の絵はもっと甲冑の紫に赤みがあるんですが、スキャンしても写メしてもこの色になるんです不思議。僕の目が腐れてるのかもしれません。

キャラクターの服装がちょっとずつちょっとずつ変わっていくのはムーニーあるあるです。ひでぇもんだぜ!


ところでこのハネルってキャラクターなんですが、ピャー君のネタから誕生したキャラで、原形をとどめていませんが一応ラオウがモチーフなんですよ。で、キャラ作った当初、進も頬に×傷があるし兄であるコイツにはもっと壮絶な傷をつけよう!と額にカレイ料理のような×傷をつけたんですが

こいつ傷を乗り越えて眉毛が生えてるんですよね
ふっさふさと
どんだけの生命力だよこの眉毛wwwっておもいました

そんだけ
続きを読む

診断メーカー+α

診断メーカーで遊んでみました↓
mooooonymanは『白色のウルフで紺色の透き通るような目、肌はなめらかでぶりっこな性格の下級悪魔』です。茶髪緑眼の死神と親友です。 http://shindanmaker.com/193859

これをうけての落書き
 

と、当初ここまでをチラ裏にアップする予定だったのですが、しぃちゃんの考える設定が面白かったので、これを僕一人で楽しんじゃ勿体無いと思い転載させてもらいました!


■親友の死神が狩る予定の人間を悪戯で先に騙して魂を奪ったりしてたら楽しいなー。男でも女でも楽しそうなビジュアルですよ


■悪魔が奪った場合と死神が狩った場合だと魂の行く先も違うんでしょうね。死神が狩られた場合は然るべき機関で然るべき存在に天国か地獄かそれ以外か采配されるんでしょうけど、悪魔が奪った場合は悪魔に私物化されて意識が原型留めないくらいどろどろになるか食べられて消滅しちゃうかで悲惨な末路


■白髪ウルフで紺色の目ってビジュアル的に天使っぽいよね。そこからのペテンコンボなのか。あるいは褐色×白髪でちょいエロ路線なのか。でも碧眼だしそこを生かしたいよね。ここはやっぱり色白ですね


■下級悪魔というのがまた雑魚っぽくていいよね。で、死神と親友というのもいいよね。担当区域が一緒だったとかそんなきっかけで仲良くなってたらいいよね。死神は神様とはいっても神様界ではいちいち名前も認識されてないくらい軽んじられてるんだろうね。数がいっぱいいるし、業務内容的に


■死神さんは悪魔さんに魂横取りされて「やめてよー」とか言うんだけど、死神業務的にはタゲが現世からさよならグッバイしてくれたらこともなしだから「これこれこういう理由で魂が現世から消滅しました」と報告をあげとけばお咎めもないので手間といえば手間だけど何も困らない


■悪魔はふらふら日々をごろごろ暇潰し探しながら生きてるけど(人間と契約してる奴、何かの眷属で忙しい奴除く)、死神は地域によって忙しさの違いはあれど恐ろしくきっちり仕事してる。悪魔は死んだりするから人間その他でも撃退できるけど死神はまず死なないし死んでも代わりが湧いてくる


■死神撃退したら五、六柱仲間を呼んで追い回してくるし、殺したらやっぱり仲間が湧いてきて、それこそ地獄の果てまで追い回される。後者は審判を受ける際の罪状に「神殺し」も加わり裁判官の心証は最悪なこととなる


■悪魔さんが「死神さんのタゲ始末しといたよー空いた時間で遊ぼうよー」とかやっても死神さん的には名簿の順番が一つ繰り上がっただけだから「お仕事あるからごめんねー」ってなる。でも適当にサボりつつ悪魔さんと遊んでるんだろう


■天使は死神のことを「自分の仕事に必要だけど自分は絶対やりたくない汚れ仕事に従事してる底辺」と認識してる奴が多数なので死神にはあんまり関わらない。「人間が可哀想…」とか思ってる奴もいるかも。悪魔のことはとにかくうんこだと思ってるやつが多い


■死神は真面目で堅物で融通のきかない、洒落の通じない奴が多い。変に帰属意識と仲間意識は高いけど、外部から見たらそこ含めて無機質で気持ち悪ッ!と思われることが多い。感情に乏しく見える。人間の魂を狩ることに関しては草むしりみたいな感覚。書類の角をきっちり揃えることに喜びを覚える奴が多い


■悪魔的には死神は「おもんない奴」である可能性が高いため、悪魔と死神が仲良しこよしなのは珍しいけど無いわけではない


■悪魔は男でも女でも「遊ぼうよー遊ぼうよー」タイプ。死神は女の子の場合種族的な仕事に厳格なところとちょっとだけほんわかなところが同居してるタイプ。男の場合は種族的に厳格なところが出て外見の素朴な地味さの割にクール。地味クール。

■なんにせよ、へっぽこな下級悪魔と絡んでる時点でノリはいいほうなんだろう。悪魔、しかも下級悪魔と親友関係になれる死神って


あのたった何十文字からここまで世界が広がるってんだから、しかもそれがまた面白いから、しぃちゃん凄いです。あと個人的に、死神の助数詞がさりげなく「柱」な所とかもなんかこう、いいんですよね///(なにいってんだこいつ

ココには冒頭の診断結果キャラ分だけ転載させて頂きましたが、ほかにもいろんな診断結果キャラから話を広げてらっしゃっていて、見ていてとても楽しいです。



許可頂いた事だし早速コピペしよう!と意気揚々とPCからツイッター開いたら固まるわ固まるわもう・・・!なんとか挫けず載せることが出来ましたが、ツイッターはもうちょっとコピペする奴に優しくして欲しいですね。わざとコピペしづらい仕様にされてるのかも分かりませんけどww

昨日は猫の日だったんだって

間に合わなかったよね
大きいの
猫耳わかりにくい

22日のうちに思い立って書き始めたんですけど、書き終わったのが日付変わって4分でした。惜しい!(スキャンして画像サイズや色を調節したり記事の文かいたりしてたら結局この時間なので、全く以って惜しくないです)

22日は過ぎてしまいましたが23日はにゃんにゃんさんの日だからおkなのです。…というしぃちゃんの言葉を借りてドヤ顔なムーニーマンですこんばんは!


最近再びコピック塗りが楽しくて仕方ないです。色塗りの時間が日々の癒しになっています。今回ちょっと新しい試みをやってみたんですよね。楽しかったです。ホワイト飛ばすの失敗してただの汚れになったのが悔やまれますがww けど次回へのいい経験になる事でしょう。…多分ww

一昨日くらいにツイッターの方でも診断メーカーの結果を絵に書いたりして遊んでたんですよね。しぃちゃんが診断結果で出来たキャラクターやその周辺に色んな設定を考えてくれたんですが、それがまたツボにグイグイ入ってイイ感じなので、許可を頂いたら絵と一緒にこっちに載せたいです。


そんな感じでもうこんな時間かい!
寝るぞ!お休み!
あーばよォっっwwww
続きを読む

俺が女になったとして14

******

「ン……」
朝だ。道仁の部屋のロフトは窓から光が入るので、否応なく意識も覚醒する。ぐるぐると考えが巡ってろくに眠れた気がしなかったが、『起きた』という事は寝ていたのだろう。そう思うとなんだか身体がずいぶん楽になっている気がするのだが、まあなんと単純なのだろう俺は。

「…………」
ああ、起きたは良いもののここから降りて道仁と顔を合わせるのが億劫で仕方がない。というか…気まずい。アイツは一体どういうつもりだったのだろう。…それよりも俺だ、俺は一体どうしてしまったんだ。驚きはしたけれど、全然嫌だとかそういう気持ちが湧かなかった。未だに昨日の事を思い出すとドキドキしていて、なんというか…俺からどうこうする甲斐性はないけれど、あのままの空気の中に居たいなんて心のどこかで思っていた。

なあ矢追、これって浮気ってやつなのか?俺わかんねぇよ。二次嫁がどうこうなんて言いはしていたけれど、実際のところ俺にはお前だけだったから。他の人間なんて考えもした事が無かったから。…罪悪感と自己嫌悪に胸が痛む。俺は結局のところ親切にしてくれる相手なら誰でも好きになる尻軽女なのか?いや、俺女じゃないけど。……いやいや、今は女か…ああもう、そんな所はどうでもいいんだよ。俺は一体どうしたいんだ、俺は矢追の事や道仁の事をどう思って

「おい。いい加減起きろクソメガネ」
「ギャアア!!」
突然布団を剥がされ俺は声を上げた。その声が耳に来たのか、道仁は眉間にしわを寄せ露骨に嫌な顔をした。だから怖いって、顔。
「……お、オハヨウゴザイマス」
「…おう」

どぎまぎとぎこちなくなる俺に比べ、道仁の様子はいつもと変わらない。普通に俺を起こしに来て、普通に顔を合わせながら飯を食って、普通に話をしてくる。なんなんだこいつは。気に入らない。俺はお前のせいで余計な事まで色々と思い悩む羽目になってるってのに。

「……ああ、そうだ」
家を出る前、ボソリと道仁が言った。
「お前には黙っていたが、オレは去年までアメリカに居た帰国子女だ」
「へぇ。……えっ、え?」
「だからハグやキスやってのはただの挨拶だ」
「えっ、あ、ああ……」
ん?いやいやおかしいだろ、お前矢追と中高同じだったんだろうが。
「……嘘つけ」
ジトリと俺が睨むと、「今一瞬騙されかけただろう」と道仁はケラケラ笑っていた。
……突然何を言い出すのかと思ったが、つまりは昨日の事は気にするなと言いたいのだと気付いた。

そうだ、リア充様のコイツにとってはただの気まぐれだったのだ。女がくっついて来たからなんとなくキスしてみた、それこそ『挨拶』感覚で。そうか、ただそれだけだったのだ。
「……馬鹿じゃねぇの」
ぐるぐると悩んだ俺が馬鹿みたいだ。何人の女にそうしてきたか知らないが、お前みたいな軽いノリは俺には理解できない。
俺は道仁の気まぐれに振り回されるように戸惑ってドキドキしていた自身を、まるで道化だと情けなく思った。そして一瞬でも矢追と道仁を並べた事を悔いていた。
「ジョークに向かって馬鹿はないだろう」
道仁は俺の言葉の意味に気付く事もなく、相変わらずの様子で笑っている。それならそれでいい。俺が勝手に勘違いして舞い上がっただけだったのだから。

「〜〜〜〜、」
今日の道仁はよく喋る。けれどそのどれもあまり耳には入らず、俺は生返事をしていた。…あまり話を聞きたいとも思えなかった。
俺はこれまで道仁の傍に居て感じていた安心感に疑問を抱くようになっていた。それでも道仁が良い奴だという事は分かっている。なにせ俺なんかにここまで良くしてくれるのだから。
……だからこそ戸惑うのだ。一瞬の気まぐれで女として見られた事に。
無償で庇護を受ける事自体が虫のいい話で、俺は道仁の気まぐれにくらい応えるべきなのかも知れない。…けれどそれじゃあ俺が本気にしてしまう。俺は一人でおかしな事になってしまう。

「…、おら、行くぞ」
「……ん」
もやもやとした気分がすっきりとしない。何より自分がどうしたいのか全く分からなかった。

おなかぽっこり

ほどろちゃんに便乗妄想

矢追は食後でぽっこりした備府のお腹にそっと触れて

「でかしたぞ備府子…いよいよ僕もパパかぁ///」
って言ってお腹に耳をあてるのよ

「あのー孕む覚えがないんですけど」
「処女受胎?じゃあ備府子ちゃん聖母だね!」
「うわぁ…」

「頼む備府子!その子を認知させてくれー!」スリスリ
「こいつうるせぇー」
「ねぇねぇ、名前は何にする?///」
「何コレ話勝手に進んでるの」
「///」キラキラ

「え〜…じゃあ腹の中身カツ丼だから、カツ子な」
「いい名前だね///もし男の子だったらどうする〜?」
「カツ海舟」
「苗字にカツ来ちゃったよ!もう夫婦別姓すら飛び越えちゃったよ! でも僕達の子、きっと大出世だね!」

「だからお前の子じゃなくてカツだっつってんだろ」


ほーらそうこうしてたらお昼おわっちまったよwwばーかwww

備府子

おムツさん最近女備府ばっか描いてるじゃないっすか
なんなんスか
ホモ描いてた時のムツさんはどこに行ったんスか!
しっかりして下さいよ!!(ガッシボカ


いやすんませんまじでwww
そのうち元に戻りますんでwwwww

コピックの匂いが癖になります。ハァハァハァハァ言いながら色塗りしてます。いやさすがにそれは嘘ですテッヘー☆

うおっほおおおおおお

ふぎゃああああああああああああああうおっっおおおおおっっうおうすげええええええええええええうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおすげえの!すげえの!!!
拍手の方がね!!!進のね!!!ジャンプ進のマグネットをね!!!!!つくって下さったのおおおおおおおおおおおおおうおおおおおおおお落ち着け!落ち着けオムツ!!!貴様の九州ポリマー(誤字)は飾りか!飾りかああ!!!

ふう……


いやぁ…生きてて良かったね……!!

のっけていいのかな、
のっけていいのかな…!

見せびらかさして!

マグネットと粘土で手作りされてらっしゃるんですよ…!凄くないですかコレ……!!僕には絶対真似出来ません!

もうコレ嬉しいどころの騒ぎじゃないよね
嬉ションびっしゃびしゃだよね!(汚いです

有難う御座います、いやもう本当に有難う御座います!語彙力ないのがもどかしいゼ!!!

続きを読む

俺が女になったとして13

***

夜も深まった頃だった。何となくオレは寝つけずパソコンを開いていた。備府の身体の変化についてヒントになる事が何かないかとネットの波を漂う。

「う……うう……!」
はじめ、かすかに聞こえた妙な声にドキリとした。すぐにそれは上で寝ている備府のものだと気付く。ゴソゴソと何度も寝がえりをうつ音も聞こえてくる。……相当うなされているようだった。
「う…うぁ……! あ…ううう…」
「……おい、大丈夫か」
うなされようが鬼気迫るものになってきて、オレも不安を覚える。ロフトを上り、布団に包まって呻く備府の肩を叩く。
「はぁっ…はぁ、うぐ、ううう…ッ!」
「おい、……おい!」
揺すってみても苦しむばかり。オレは焦って備府の頬をはたいた。
「おいしっかりしろ!備府!起きろ!」
「ッッ…!!」
ガバッと弾かれるように備府が飛び起きた。状況が読み込めないのかしばらく肩で息をしながら黙っていたが、やがてこちらに気付き、夢を見ていたのだと理解したようだった。
「なんだ、また図書館で言っていた『嫌な夢』でも見たのか」
「……、」
頷く備府の顔は真っ青だった。

***

「熱いから気をつけろよ」
「ん…」
降りて来た備府に温めた牛乳の入ったマグを手渡す。随分小さい頃、寝つけずぐずるオレに祖母がこうしてくれていたのを思い出したからだ。備府はちびちびとマグに口をつけた後、ボソボソと喋り出した。
「同じ夢を二度も見たんだ……」
「……」
「女になった俺の身体が、腐ったみたいにズルズルに溶けていって……溶けた俺の肉から別の女が出来あがっていって、…俺の名前を呼ぶんだ。まるで溶け残った俺の身体も引きずりこもうとするみたいに、手を伸ばして来て……。たかが夢だと思ったよ。けどおかしいだろ、同じ夢を繰り返し見るなんて。それに一回目の夢よりも、女の姿や声がハッキリしてきてて…掴まれたんだ、腕を」
ブルリと備府は身を震わせた。
「眠ったらまたあの夢の続きを見るんだ、絶対…絶対そうだ……」

もういやだ、眠るのが怖い、と頭を抱えて髪を掻き乱す備府を見ていると、昔の自分を思い出した。幼少のオレは高熱が続くと決まって恐ろしい夢を見ていた。起きても身体が辛い、寝ても恐ろしい目にあい心が参る… 逃げ場のない苦しみからくるストレスを親兄弟に理解してもらえず、よく癇癪を起したものだった。
「……備府、気にするな。恐ろしかろうが意味深だろうが、夢なんて所詮ただの夢だ。現実のお前を脅かすものじゃない」
「……うん…」
「お前は、お前が思う以上に疲れてるんだろう。今は色んな事を気にしすぎて過敏になっている…恐らくそのせいで妙な夢を見るんだ」
「そう…か……」
「ああ。何もないから安心しろ。それでもうなされるようならオレが助けに行ってやるよ」
備府は不可思議そうにオレを見やる。
「助けに…夢の中にか?」
「いや…、最終究極奥義『起こす』に決まってるだろ?」
キメ顔でそう返すと、備府はマグを取りこぼしそうになりながら笑った。
「最終奥義www違いねえww確実すぎるwww」
「フフン、当たり前だ」

「……お前、良い奴だな」
突然改まってそう言いだした備府の表情は穏やかだった。柔らかく笑う備府に、オレの抱えていたモヤモヤとした感情もスゥと消えていくのを感じた。
「今更だな。遅ぇんだよ気付くのが」
「…バーカ」
くつくつと備府が笑い、つられてオレも頬を緩ませる。すると備府はおもむろに立ち上がり、俺の横に腰を下ろした。
「…?」
「……許容範囲だろこれくらい。今俺、一応身体は女だし」
そう言って備府は俺の肩に頭を預けるように寄りかかってきた。髪からはよく知ったシャンプーの匂いがする。
「男のお前に寄りかかられても気色悪いが、むしろ女にこういう事される方が困るんだけど」
「うるせーてめぇリア充様なんだから今更こんくらい慣れっこだろ」
「まぁな」
「即答かよ!うわー腹立つわこのくされチンポ野郎」
「はぁ?何それひっでぇ」
二人してケラケラと笑う。寄りかかられた右肩が重い。けれどこういう重みは嫌いではない。何より、じわじわと伝って来る体温が心地よかった。


「俺さぁ」
「ん?」
「女になって他人から見えなくなって、何で俺だけこんな目に…ってずっと嫌な気分でさ」
「だろうな」
「なんでこんな風になったんだろう、こんな事起きなきゃ良かったのに、って思ってる。今も。けど、いつも通り男の身体でいつも通り引きこもってたら、お前とこうやって話す事もなかったんだよなぁ」
「…そうだな」
「……俺、それはちょっと嫌だなーって思った。今」
空になったマグを覗きながら、備府はへらりと笑った。
「……、」
オレは突然ふりかかった気恥ずかしさに口元を覆った。コイツは矢追菌にでも感染してやがるのか?それとも、元々似た者同士なのか…。随分と小ッ恥ずかしい事を平気で言うものだ。
「……道仁?」
声のする方を見やれば、備府がこちらを見つめていた。きょとんとした顔でオレを見ている。ちんちくりんな備府が。
「……」
「あっ…お前、今俺の事うぜぇって思っただろ!悪かったなーどうせ俺は」

自分でも分からなかった。「つい」というやつなのだろうか。オレは必死に何か喋っていた備府の頬に手を伸ばし、唇を重ねていた。

「……」
「……」
シンと部屋が静まり返った。備府が固まってしまっているのがわかる。…しまったな。オレは唇を押し当てたまま、心の中でジリジリと焦りが増していくのを感じた。
「……」
「……」
自爆してうろたえている姿など見られたくはない。とりあえず、そっと唇を離す。随分とそうしていたように感じたが、キスしていたのはほんの数秒だった。…目の前でフリーズしている備府の顔には「驚」「愕」の二文字がでかでかと書かれていた。
ああ、どうしようか。何と言おう。いっそ開き直ろうか。「今お前が好きになった」と?「唐突に愛おしくなった」と?「触れたくてどうしようもないほど可愛く見える」と?
ポーカーフェイスの下で、オレの脳はぐるぐるとせわしく回転していた。

「あ……あの…ッ!あのさ……ッ!」
備府がジリジリと後ずさりしながら言った。先程までとうってかわって、緊張しきった声だった。
「俺……、そのっ、えっと…、」
ガチガチに固まった備府は顔を赤くして、縋るような、泣きそうな瞳でこちらを見てくる。そんな表情に一層愛おしさを覚えたが、同時にこいつが何を言わんとしているかも察してしまった。
「あ、あの……」
…ああ、もうわかった、止めてくれ。言わなくていい。
「お、俺、矢追が」
「もう寝ろ」
オレは耐え切れず備府の言葉に言葉をかぶせた。
「……?」
「寝ろ」
もう一度繰り返すと、備府は一瞬ホッとしたような顔をして、さらにオレから後ずさった。
「ね、寝る…俺、もう寝るから……!明日も早いから…!」
備府は一目散にロフトへ逃げていく。階段の途中でつんのめり、最終的には両手足で犬猫のようにシャカシャカと上って行った。あそこまでうろたえられると、かえってこちらが冷静になれるような気がした…が、それでもショックは隠せない。そんなに嫌か、オイ。

『お、俺、矢追が』
続く言葉は分かりきっている。
「……やっちまったなぁ」
目が覚めたら、さっきの自爆なんか無かった事になっていたらいいのに。頭まですっぽりと布団をかぶってしまった備府を見上げ、オレはぐしゃぐしゃと頭をかきまわした後電気を消した。
……やってしまった事は仕方がない。オレはオレなのだから、これまで通りに振舞えばいい。その方が互いに気まずくないだろう。
じっと高い天井を見つめながら自分に言い聞かせる。まだまだ眠れる気配はなかった。

俺が女になったとして12

******


外からシトシトと雨音がする。備府は戻ってこない。雨も降り出した事だ、今日は自分の部屋で過ごす事にしたのだろうか。俺はラップを敷いたタッパーに、鍋のカレーを移し替える。……折角甘くしてやったってのにあの馬鹿が。
そう毒づいていると、ドアの開く音が聞こえた。
「おう、やっと戻ってきたか。飯は今片づけ… …おい、大丈夫かお前」
戻ってきた備府はずぶ濡れで、死霊のように生気のない顔をしていた。俺の問いかけに、虚ろな表情でこちらを見る。
「何かあったのか」
「別に…」
「……、」

何と話しかけても反応の鈍い備府をとりあえず荷物ごと風呂へと押し入れた。オレは医者じゃない、風邪をひかれても困る。…いつまでも放心状態だったならば、凍える前に服のまま頭から湯をぶっかけてやろうかと思っていたが、少ししてシャワーの音が聞こえて来たのでほっと息をついた。

「タオルは洗濯機の上のつっぱり棚にある。濡れた服は手前のカゴにな」
シャワーの音が止んだ頃を見計らい、声をかける。カーテンの向こうで小さく返事が聞こえた…気がする。
ややあって出て来た備府は、相変わらず辛気臭いオーラが全開だった。言うべきではない事だから口にはしないが、こう何度も唐突に浮き沈みされると、さすがにオレだって気疲れする。
何だ、今度はどうしたんだお前は。オレを頼ってここに来ているのなら、オレに話をしたっていい筈だ。話を聞いたからと言って解決できるかは、さすがに超常現象相手では自信がない。ないけれど、オレだって……
はぁ、という備府の小さな溜め息で我にかえる。
「どうした、何かあったんだろう」
「……何もなかった…何かあって欲しかったけどな…」
少しの沈黙をおいて自嘲気味につぶやく備府の目は、オレなんか見てはいない。
「それじゃあ分からん」
「……」
備府の無言が、「お前には関係ないだろう」と今のオレには聞こえた。勝手に焦りや苛立ちを感じはじめる心を、オレはできるだけ客観視して抑えようとした。

今の備府はオレにしか認識できない存在になっている。だから備府は心細くてオレの所に来る。けれどオレが備府を救えるかと言えば限りなく怪しく、備府もそれを分かっている。だからだろうか、何か思う所があった様子でもオレには話そうとしてくれない。備府はオレに依存こそすれ決して、頼っているわけではない…そう気付かされるのがオレは嫌なのだろう。

「……死にたい」
「…そうか」
「うん」
「……」
…ああ、つまりオレは何も出来ない自分に苛ついているって事じゃあないのか?

「…どうしようもない事を頭の中でぐるぐる考えたって無駄だ。こういう時はクソして寝ろ」
口から出た言葉は、備府に言っているのか自身に言いきかせているのかよく分からなかった。きっと両方なのだろう。
「……ん」
ふらふらおぼつかない足どりでロフトへ上がる備府。気になって後を追うが、やっぱり何が出来るわけでもなく…ただただ備府が横になり布団をかぶるのを下から眺めるだけだった。朝になれば少しは落ち着くだろう。その時に何かしら奴の方から話してくれるはずだ。今はそっとしておこう。
「……道仁」
「…あ?」
「……おやすみ」
何かと思えば妙な所で律儀な奴だ。一瞬身構えた自分が滑稽で思わず苦笑した。
「……ああ、おやすみ」

備「チョコうまー!」

おっきいの

66666アクセス有難う御座います!

>バレンタインチョコはあえての女備府からいただきたいです!もちろんノーブラでお願いします!!

という事で、チョコレートを持たせましたので食ってやって下さい。備府がめっちゃ食い荒らしてますけどww


あとノーブラ感非常に難しかったです。もっとエロい感じを前面に押し出したパターンも考えていたんですが、購読者が減ったら泣くので慎みましたwww

…うそです描けなかっただけです



続きを読む

取り急ぎってワケでもないけど拍手レス

いつも拍手頂きありがとうございます!

66666報告して下さった方有り難うございます!チョコは誰に持たせてお渡ししたら良いでしょうか
バレンタインに間に合うようハッスルしますww


あとコメント見て唸ったですが、言われてみれば女備府ってノーブラですねww
ブラジャーかあ

いてて イテテテテ
(豚鼻つけて前屈みしながら)

俺が女になったとして11

******

「おい、どうした…?」
ギョッとしてオレは備府に声をかけた。足早に図書館へと戻ると、備府がうずくまっていたのだ。備府は顔を上げこちらを見た。オレを確認すると、怯えたような表情が少し和らいだようだった。

「……、嫌な夢を見た」
「寝てたのかよ」
オレの素っ頓狂な突っ込みに備府はポカンとした後クスリと笑った。
「…寝てた。静かだし〜暇だったし〜つい〜」
「おい今暇っつったなゴルァ お前の事だぞお前が調べろ馬鹿が」
「ギャー痛い痛い頬が伸びる!」
備府はオレのつねった頬を撫でながら「ネタにマジレスする男の人って…」などと口を尖らせていた。分かってるよ冗談だって事ぐらいは。……どうにも、嫌な夢を見たというだけであって何かあったわけではないようだった。心配して損した。


その日は呪いの類の本をあたってみたが、収穫は無かった。ウチの図書館は元々蔵書数は多くない。もっと大きな所へ行くべきだっただろうか。……この時期、陽がおちるのが早い。外に出る頃には街灯がともり、空気もすっかり冷え込んでいた。
「……なあ」
口数も少なく、二人並んでのそのそと帰っていた時だった。備府がふいに声をかけて来た。
「何だ」
「……えー…あのー」
「随分下手な古畑任三郎だな」
「も、物まねじゃねーよ!……じゃなくて!その……」
「だから何だ」
「……お前んとこ、も、もう少し…居ちゃダメ?」
備府はアスファルトを眺めたままそう言って、オレの様子を窺うようにチラリとこちらを覗き見てきた。
「…あ、お前今俺の事うぜーって思ったろ……絶対思った。いいよ別に、無し、今の話無―し。どうもすんませんでしたー」
うっぜええええ と思った。確かに。なんだお前のその卑屈な態度は。『もう少し居ちゃダメ?』の上目遣いで終わっていれば少しは可愛いものを。

「……とりあえずお前、自分の部屋に帰れ」
「……ッ」
『もういい』なんて自分で言っといてそんな泣きそうな顔をするんだもんな。分かりやすい奴。
「…で、服やら要るものをまとめて来い」
「!」
お前、今の漫画なら『ぱぁっ』って書き文字が付くぞ。本当に分かりやすい奴め。
「で、ででも、お前迷惑だろ、だって、俺」
「構わんと言ってるんだ、あんまり妙な事を言うと気が変わるぞ」
「ひゃい!!!」
備府の返事がひっくりかえっていた。あまりに情けなくて吹き出しそうになるが、示しが付かないのでグイと眉間にしわを寄せ堪える。


「……っ、」
「?」
不審に思い、下を向いた備府の顔を覗き込もうとしたが手で阻まれた。阻まれはしたが、泣いている事はすぐに分かった。オレもさすがに少し動揺した。
「おい待て、何で泣くんだ」
「だってっっ…ほっとしてぇ……!止めたいんだけど…っと、止まらっ、なくてぇっ」
ぐしぐしと迷子で困り果てた子供の様な泣き方をし出す備府。ああ、自分でも分かっているが、こういうのにはめっぽう弱いのだオレは…。
「あーほら、泣くなって。な、」
「俺も゛…泣きたくてっ 泣いてるんじゃなぐ…って…」
「そうかそうか」
胸を貸し付け、あやすように背をトントンと叩く。縋りつくように備府はオレの服をギュウと握りしめた。こんなにひ弱で憐れな存在があるものなのかと俺は思った。比喩でも何でもなく、コイツには今、オレしかいないのだ。

「うっく……っく…」
「大丈夫だ、安心しろ」
「うぐ…ありがとぉ……っ」
「ん」
「…おう゛ぇえっっ」
「……」


******

俺はマンションの自室に戻った。さっさと要るものだけまとめて戻ろう…そう思って部屋へと進む。
「……、俺…電気つけっぱだったかな」
キッチンを抜け部屋を覗くと、そこには矢追が居た。
「矢追サンおいすーww」
「……」
……そうだ、今のこいつには俺の姿も声も分からないのだっけ。分かっていたつもりなのに、慣れというものは思わぬ所で俺を感傷的にさせる。

こいつ俺の部屋で何してんだろう。…俺の帰りを待ってるんだろうな。そう思うと切ない。俺はここにいるのに。 パソコンに向かう矢追に、後ろから抱きついた。当然のように矢追は気付く気配もない。
「……はぁ」
矢追は若干疲れた様子で画面から目を離した。何をしていたのだろう?そう思って画面を見る。

『神隠しの謎 実例と伝承』
ホームページのタイトルにはそう記されていた。矢追は深い溜め息と共にブラウザを閉じ、「やっぱり警察に捜索届けかなぁ…」と呟いていた。…ああ、矢追も俺を心配してくれているのだ……そう思うと一層切ない。寂しさや恋しさが一気に胸を埋め尽くしていくのが分かった。
「矢追…俺だ、俺、ここにいるんだよ…」
矢追へと絡めた腕に力がこもる。いつもの矢追の感触、矢追のにおい。俺は五感全てでお前を感じているのに。悪い夢であってくれたならどんなに幸せだろう。
「矢追……お前も抱き返せよ…。俺を見てくれよ。下らない話とかさぁ、ほら、いつもみたいにさ、しようぜ…?」
「……」
「……俺ちゃんと勉強するからさぁ…お前が来たら、いや、一人の時もちゃんと大学だっていくし…っく……もっと外とか出て…お前の行きたい所とか行くし……」
「……」
「なぁ…矢追……聞いてくれよ…こっち向いてくれって……っく、うぐっ…ぐすっ……俺寂しいよぉ…!どうしたらいいんだよぉ…!」
俺の声なんて聞こえるはずもなかった。矢追はぼうっとどこかを眺めている。その顔はとても見慣れていて、部屋だっていつもと何も変わらない。日常だ。いつ矢追が俺の方を見てもおかしくない。微笑んで、腕をまわして抱き寄せてキスをして、聞いているこっちが恥ずかしくなるような事を言って……。そんな日常が恋しい、矢追が恋しい。俺だけが圧倒的な隔たりを経た非日常の中に居る。
「矢追……うぅ…好きだ……好きだよぉ…」
俺は息がかかるような距離まで顔を近づける。
…いつもみたいに俺に微笑んでくれ。腕をまわして抱き寄せてくれよ。キスして欲しいんだよ。お前の口から、聞いているこっちが恥ずかしくなるような言葉を聞きたい。セックスだってしたい。言葉はおかしいけれどもう何だっていい、お前に『会いたい』。

俺は矢追の頬に唇を落とした。どうせ気付きなんてしないと分かっていても、矢追に触れたくて、愛したくて仕方なかった。
「……、」
正面に回り矢追の唇にキスをしようとした、その時だった。矢追が突然キョロキョロと部屋を見回し始めた。
「…?」
「……備府…?」
「……!」
「…いる……?備府、ここに居る?」
目の覚めるような衝撃だった。今までの塞いだ気持ちもすっとんだ俺は、思わず矢追の肩を掴む。
「居る…!居る!矢追、俺ここに居る!!ほら、お前の目の前だ、ココ!!」
「……、………」
声は届いていないらしく、矢追は未だにキョロキョロしている。けれど俺の気配を感じている様子だった。ああ、これは偶然だろうか、奇跡だろうか。どちらでもいい、俺の気配が矢追の気のせいではないと誰か伝えてくれ。神でも悪魔でも何でも構わないから。
「矢追!俺だよ!備府だ!おい!!」
「・・・・・・」

矢追は遠い目で溜め息を吐き肩を落とした。
「……気のせいか」

「あ……ま、待て…待ってくれよ矢追!居るんだよ!矢追!待っ…」
まるでカンダタだ。天国を目前にして地獄へ再び真っ逆さま。
「……はは、ははは。」
無情に離れていく背中を見ながら俺は膝から崩れ落ちた。


「当然じゃん。なんで急に矢追が俺を分かるようになるんだ、理由がない。あいつの言う通り気のせいなんだよ。…ふはは、舞い上がってやんの俺……馬鹿でぇ」
床に大の字になる。
「……」
シンとした部屋の隣で矢追の生活音がかすかに聞こえてくる。この感情が何なのか分からないが、心臓が握りつぶされるんじゃないかと思うほど苦しかった。

PC「何も分からない…?」

前回から続きました

鋼二「俺は一体何者なんだブツブツ」

しづか「……、」

しづか「問題ありません」

スパーン!

鋼二「全て思い出したッッ!!」シャキーン

そんな感じでiPod、無事に音楽データ復旧しました
えがったえがった
しかしコイツどんなポーズしとるんでしょうww厨なポーズさせたかったんですが今見たら訳がわかりませんね

俺が女になったとして10


******

久々のキャンパス。久々の講義。所々に、見知った人間。
ざわつく教室で、俺は数少ない知り合いへとにじり寄る。

「しげお、俺が誰か分かるよな?……おい、腹減ったじゃなくてさあ」

「生田……見えてるか?ホラ俺、備府……、…………」

「…………」

結局知り合いは誰も俺の呼びかけに反応しなかった。いっそ見知らぬ人間でもいいから俺が見えている奴はいないかと、手当たり次第に呼びかけたり、つついたり、服を引っ張ってみたりした。けれどどれも同じだった。…失意のままに俺は講義を受けた。

教室を出ると人波の中に道仁が立っていて、俺を見つけると軽く手を上げた。…それだけで俺はどれだけ救われた気になるだろう。一目散に道仁の元へ駆け寄った。いつも自分は空気だ、独りの方が気が楽でいい、そう思っていた事が嘘のように独りになる事が怖かった。道仁を失えば俺は本当に孤独なのだと思い知った。


******

当然のように購買でも備府は買い物ができなかった。姿が見えないらしいので仕方がない。しかしそれなのに何故オレにだけ姿が見えるのだろう。矢追の反応を見た時から気にはなっていた事だった。

「道仁!」
聞きなれた愛おしい声。講義を終えた矢追がラウンジへと駆け込んできたのだ。
「いやぁ急に出席票代わりに小テストするなんて言い出してさぁ。あ、昨日の九祖御園城跡なんだけどー……」
いそいそと矢追は俺の向かいに腰掛ける。その隣には備府がいるのだが、やはり気付いてはいないようだった。備府の矢追を見つめる視線が切なくて、オレまで胸が痛くなる。

「……道仁さ、備府、どこにいるか聞いてない…よね」
ふと矢追が備府の名前を口にした。
「備府が家を出る事は珍しいけど、時々ある事なんだ。でも携帯も通じないし、朝になっても帰ってきてないし、僕、何か事故にあってやしないか心配で……」
チラリと備府を見やると、備府はかぶりをふりながら「圏外」と表示された携帯を見せて来た。
……備府の事を矢追に正直に話してみるか、俺は迷った。『備府が女になっていて、オレ以外の人間には見えなくなっている』、なんてオレだって実際に目にしなければ信じていない痴れがましい話だ。けれど今の備府を見ていると、矢追にこいつの存在を知らせたくなる。見えなくても、そこに居る事だけでも分かればどれだけ違うだろう。矢追も備府もだ。

「…矢追、信じろという方が無理な話だとは思うんだが」
「なに、急にどうしたの…?」
「……備府はそこにいる。お前の隣だ。今は何故だか分からないが、オレにしか見えなくなっているらしい」
「……、」
きょとんとした後、矢追は隣の席を見た。備府は矢追に呼びかけたり頬を叩いたりしているが、やはり分からないようだった。
「道仁、それは本気で言っているの?冗談じゃないんだよね?」
「……ああ。オレだって見えなければ信じないが、そこにいる」
「……それって、備府が死んで幽霊になってるって言いたいの?」
備府は「死」という言葉にうろたえていた。そうだ、そういう可能性だってあるという事なのだと今更になって気付く。
「それは分からない。オレも備府も分かっていない」
「……悪い冗談なら怒るよ」
「冗談は言ってない」
「…………備府、いるの?」
備府は矢追の目を見つめたままウンウンと頷いている。
「……、…………」
すかすかと矢追の手が空を切る。少しの間そうして、小さくため息をついた。
「……ごめん道仁、今日は帰るね」
「……そうか」
矢追は俺の言葉を信じて困惑しているのか、からかわれていると憤慨しているのかは分からなかった。どちらでも仕方のない事だなとは思う。

「矢追に付いて行かないのか」
「行ったって…」
備府の声は暗かった。
「……おら、さっさと元に戻る方法調べるぞ」
立ち上がり促すと、備府は猫背のままコクリと頷いた。


******

大学の図書館でひとり、俺はネット検索をしていた。道仁はしばらく一緒に蔵書目録などを調べていたが、4限の講義へ行ってしまったのだ。
「あー…、ぜんっぜんわかんねぇ」
『女体化』『他人に見えなくなる』思いつく自分の症状を検索にかけてみるが、そういった曖昧なキーワードでは、思うような情報を見つける事すらままならなかった。
「……ふぁー…」
「…………」
人気がなく静まり返った図書館。知らず知らずのうちに俺は眠りに入っていたようだった。

……

俺は見知らぬ場所に、裸で居た。
「うわ、なんで俺服着てないんだ」
俺は戸惑い、自分の胸に触れる。その感触はとても柔らかくて、…柔らかすぎて、まるで腐れた果実のように今にも崩れ落ちそうで。
「わ、わ、なんだこれ、なんだよこれ…」
みるみるうちに、俺の身体のいたる所の肉がズルズルと溶けるように崩れていく。
「た、助けてくれ、誰か……!」
次第に目線が低くなる。肉が崩れて立っているかすら怪しい状態なのだろう。目下に水たまりのように肉が広がる。……その中にゴプリと盛り上がりが出来た。それはしだいに人の顔の形になり、女だろうか、心霊番組の雛型のようなおかっぱ頭の人間をかたどっていく。
『備府…備府……』
肉から出来た人の様なものは、俺の名前を呼び手を伸ばしてくる。
「や、やめろ…やめろ……!」

……

「うわあああああああ!!!」

跳ね起きると、そこは先程と変わらない図書館だった。夢だと理解するのに時間を要するほどリアルな感触を伴う夢を俺は見ていたのだ。…時計を見やる。時間はほんの5分ほどしか進んでいなかった。身体はいまだに冷や汗をびっしょりとかき、心臓もばくばくとせわしなく動いている。

「……嫌な夢……くそっ」
矢追の言っていた「備府が死んで幽霊になっている」という言葉が嫌でも脳裏をよぎる。思い込みが見せた夢なのかもしれない。けれどただの夢だとは思えないほど、身に迫るものを感じた。

「は、はやく戻ってこいよ道仁、あのくそったれ……」
芯からくるような震えを抑えようと、俺は出来る限りギュウと身を縮こめて固まって過ごした。


******

どうでもいい話
九祖御園城跡 → くそみそのじょうせき

長いね、ごめんねまだ半分くらいなんだ

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