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「死神と悪魔」
冥界にて
人間界へ仕事に向かおうとする死神。その前に立ちはだかる異形の少年がいた。
「またお前か、悪魔め」
死神は吐き捨てるように言った。
「そんな言い方はないだろう、僕は心優しい人間の味方なんだ」
「人間の運命は変えられない。定められた日時に必ず死ぬ。余計な真似ばかりするお前を見ていると胸糞が悪い。消えろ」
「嗚呼、死神はなんて冷徹なんだろう!…僕は思うんだ、誰しも突然死ぬのはやりきれない。悔いが残る。もしも自分の死を事前に知ることができたのなら、人はどうするだろう?」
「私には関わりのない事だ」
「…ともすれば、強い意志で奇跡だって起こせるかも知れないじゃぁないかっ!」
大げさに熱弁する異形の少年を、死神は呆れた表情で一瞥した。
「今回は素敵な案件だね、ぜひ君より先回りさせてもらうよ死神クン」
異形の少年は人間界へと降りていった。
人間界
容姿端麗才色兼備な16歳、レイ子。代わる代わるやってくる男子の告白を丁重に断るのが彼女の日課だった。
ある下校時、女友達らに「一人くらい気に入った男子はいないのか」などと囃されるレイ子。「私のお気に入りは今も昔も一人だけよ」…そう答えていた所に、汚い子猿のような中学生が駆け寄ってきた。
「レイちゃん!今日はレイちゃん家でお勉強を教えてくれる日だよね!待ちきれなくて迎えに来ちゃった」
瓶底眼鏡にボサボサの髪の子猿はレイ子に馴れ馴れしい。レイ子も子猿と親しげだ。あまりに不釣合いな二人の画に女友達らは唖然とする。
子猿はレイ子の三つ下の幼馴染みで、名前を一路(いちろ)と言った。みすぼらしい一路の手を引きにこやかに帰っていくレイ子を見て、女友達らは彼女の慈母のような優しさに感心する事しきりだった。
しかしレイ子は自室に着くやいなや豹変する。中学1年では到底解けない問題ばかりを吹っ掛けては、それを口実に一路に体罰を与えた。レイ子は一路の人格を否定する言葉を吐き続けては、むせび泣く一路とその傷をうっとりとした表情で見下ろした。
気が済んだ様子のレイ子は、次に一路を女神のように介抱する。一路の表情を隠す瓶底眼鏡を外しぼさぼさの髪を整えると、彼は幼いながらに美しい顔をもつ少年へと変貌した。一路に汚い風貌をするよう命じたのは他でもないレイ子で、自分しか知らない一路の美しい素顔を眺めては満たされる独占欲に身を震わせていた。
一路はレイ子の命令を忠実に守り、友達はひとりもいない。唯一いるのはレイ子という頭のおかしい「ご主人様」だけ。けれど、これはレイ子も同じだった。彼女が心を開く相手はみすぼらしい「下僕」の一路ただひとり。一路はそれを理解しており、レイ子の横暴を受け入れていた。受け入れるというよりも、この狂った主従関係こそが自分達の正しい愛情の在り方だと確信していた。俗世の言葉を借りるならば、二人はれっきとした恋仲なのだ。
ある日、レイ子の前に奇妙な少年が姿を現す。大まかな姿かたちこそは人間のようだが、肌、耳、瞳…明らかに異形の者だった。
異形の少年は、レイ子が半年後に命を落とす運命になっていると伝えた。信じる素振りのないレイ子に異形の少年はビジョンを見せる。それは、鬼の様な形相をした少年に首を絞められている自身の姿。……成長した一路がレイ子を殺すと言うのだ。
「君しだいで運命を覆せるかもしれない。そもそも突然死ぬはずだった君の前に僕が現れたこと自体、奇跡の始まりじゃないのかい?」
異形の少年は澄んだ目でそう言った。「死に抗い、運命を変えよう」と力強くレイ子を励まして姿を消した。
自分は幻覚を見ていたのかもしれない。レイ子はそう思いもした。けれど死のビジョンは生々しくレイ子にまとわりつく。死ぬ事以上に、一路に裏切られる末路に震えた。
もしも異形の少年の予言が本当なら…いや、そうでなくとも。自分の歪んだ愉悦のために一路が傷ついているのは紛れもない事実なのだ。レイ子は長い夢から醒めたように突然、傷だらけの一路を想い胸を痛めた。
一路はどんなにひどい仕打ちを受けてもレイ子に尻尾を振る。擦り寄って、どこまでも付いてくる。それはまるで雛鳥の「すり込み」のようだとレイ子は思った。へにゃへにゃと笑う一路の顔を初めて冷静に眺めると、笑っているのか泣いているのか分からないような笑顔だった。
「もうそんなダサい眼鏡しなくていい。髪も普通にしていい。学校で友達と喋ってもいい」
「え?」
「勉強も普通に教えるし……もうアンタを傷つける事もしないから……」
レイ子はぶっきらぼうながらに一路を解放した。
それから数ヵ月、二人は「普通の」恋人関係を築いている。一度は去ろうとしたレイ子を、一路が涙ながらに引き止めたのだった。レイ子も「一路さえ許してくれるのなら、」と気持ちを素直に現していく事を決意した。レイ子は無事、普通の女の子としてやり直す事が出来たのだ。
一路はスラリとした美少年に成長しており、レイ子と一路は誰もが息を呑む美男美女カップルとして評判になっていた。誰もが二人の幸せを疑わなかった。
が、突如レイ子は命を落とす。それは異形の少年が現れたちょうど半年後。彼の予言の通り、レイ子は一路に絞殺されたのだった。
……あの日、一路はレイ子との狂った主従関係から突然解放された。けれど、もとより一路にはレイ子しか居ない。レイ子の狂った愛情だけが彼にとっての正しい愛情だった。一路にとってレイ子の言葉は「解放」ではなく「裏切り」でしかなかったのだ。
レイ子が「普通」に接してくるたびに、人知れず一路の中で不安と寂しさが積もり、悲しみ憎しみに変わっていた。そしてついに、
「私とばっかりいないで、いい加減に学校で友達作りなさいよ」
という些細な小言で一路の不信感は爆発したのだった。
「レイちゃんは僕が嫌になって捨てようとしているんでしょう!?」
もみあう間もなく、レイ子は一路に組み伏せられて首を絞められた。
「急に普通の格好をしろって言って、ベルトで叩かなくなって、爪にペンをささなくなって、お風呂やトイレに沈めなくなって…僕の工作を踏みつけて壊したり、クラスの子達の前で頭おかしいフリをしろって命令しなくなって……。」
「飽きたの?僕に飽きて、もういらなくなったんだよね!?だから友達を作れって言うんだよね?いつまでも付いて来てうざったいから、他の誰かに押し付けて逃げようって思ってるんだよね!?」
「ひどいよ、裏切るなんて絶対許さないから。勝手に逃げようったってそうはいかないんだから。だって僕はこんなにレイちゃんが好きなんだよ?ちっちゃい時からずっと、ずっとレイちゃんが僕の全てなんだよ?愛してるんだよ!?こんなに、こんなにレイちゃんを愛してるのに!レイちゃんを愛してるのに!」
ギリギリと首を絞められる間、レイ子の瞳いっぱいに一路の狂気に満ちた顔が写っていた。何をされてもへにゃへにゃと泣くように笑って付いてくるだけだった一路が初めて激昂している。声変わりで掠れた声が、矢継ぎ早に耳を犯す。どんなに虐めても抵抗せず泣くだけだった一路に組み伏せられて、身動き一つできない。この時、レイ子は初めて男女の力の差を感じた。初めて一路に男性を感じた。
「レイちゃん愛してるレイちゃん愛してるレイちゃん愛してる」
目の前には一路の狂気に歪んだ美しい顔、耳には暴力的な愛を囁く掠れ声、喉元には一路の想いに呼応するように力が込められていく筋張った指。
レイ子は苦しさや死の恐怖など忘れる程に、全身で一路に酔いしれた。ゾクゾクと身を震わす快感に溺れ、うっとりと一路を眺めながらレイ子は逝った。
冥界にて。
「いやぁ、今回も奇跡は起こらなかったね」
仕事を終えた死神に、異形の少年がはしゃいだ様子で駆け寄る。死神は侮蔑の表情で少年を見下ろした。
「人間の運命は変えられない。誰よりもそれを知っているくせに、お前は奇跡だなんだと聞こえの良い言葉で人間を焚きつけて面白がる。悪趣味な悪魔がいると胸糞悪い。死んではくれないだろうか」
「いやいや、わからないよ!きらめく絆が人間にはあるんだ!奇跡を信じて!」
明るい言葉と裏腹に、悪魔の少年は下衆いた笑みを満面に咲かせていた。
一応おわり
あらすじのつもりで書き始めたら結構がっつり書いちゃったよ
発想は以前からあったんですけど、ふと人間界の方のネタがおりてきたので今回ざっとかいてみました。眺め神ってやつ。神じゃなくて悪魔にしちゃったけど。
あと、書き直すこともないと思うけど、もし練り直すならこのシリーズに「受け入れられない」も入れたい。
傍から見れば悲惨な事件で死んでるのに本人は幸せに死んだ、みたいなの好きかもしれんのう
診断メーカーで遊んでみました↓
mooooonymanは『白色のウルフで紺色の透き通るような目、肌はなめらかでぶりっこな性格の下級悪魔』です。茶髪緑眼の死神と親友です。 http://shindanmaker.com/193859
これをうけての落書き
男 女
と、当初ここまでをチラ裏にアップする予定だったのですが、しぃちゃんの考える設定が面白かったので、これを僕一人で楽しんじゃ勿体無いと思い転載させてもらいました!
■親友の死神が狩る予定の人間を悪戯で先に騙して魂を奪ったりしてたら楽しいなー。男でも女でも楽しそうなビジュアルですよ
■悪魔が奪った場合と死神が狩った場合だと魂の行く先も違うんでしょうね。死神が狩られた場合は然るべき機関で然るべき存在に天国か地獄かそれ以外か采配されるんでしょうけど、悪魔が奪った場合は悪魔に私物化されて意識が原型留めないくらいどろどろになるか食べられて消滅しちゃうかで悲惨な末路
■白髪ウルフで紺色の目ってビジュアル的に天使っぽいよね。そこからのペテンコンボなのか。あるいは褐色×白髪でちょいエロ路線なのか。でも碧眼だしそこを生かしたいよね。ここはやっぱり色白ですね
■下級悪魔というのがまた雑魚っぽくていいよね。で、死神と親友というのもいいよね。担当区域が一緒だったとかそんなきっかけで仲良くなってたらいいよね。死神は神様とはいっても神様界ではいちいち名前も認識されてないくらい軽んじられてるんだろうね。数がいっぱいいるし、業務内容的に
■死神さんは悪魔さんに魂横取りされて「やめてよー」とか言うんだけど、死神業務的にはタゲが現世からさよならグッバイしてくれたらこともなしだから「これこれこういう理由で魂が現世から消滅しました」と報告をあげとけばお咎めもないので手間といえば手間だけど何も困らない
■悪魔はふらふら日々をごろごろ暇潰し探しながら生きてるけど(人間と契約してる奴、何かの眷属で忙しい奴除く)、死神は地域によって忙しさの違いはあれど恐ろしくきっちり仕事してる。悪魔は死んだりするから人間その他でも撃退できるけど死神はまず死なないし死んでも代わりが湧いてくる
■死神撃退したら五、六柱仲間を呼んで追い回してくるし、殺したらやっぱり仲間が湧いてきて、それこそ地獄の果てまで追い回される。後者は審判を受ける際の罪状に「神殺し」も加わり裁判官の心証は最悪なこととなる
■悪魔さんが「死神さんのタゲ始末しといたよー空いた時間で遊ぼうよー」とかやっても死神さん的には名簿の順番が一つ繰り上がっただけだから「お仕事あるからごめんねー」ってなる。でも適当にサボりつつ悪魔さんと遊んでるんだろう
■天使は死神のことを「自分の仕事に必要だけど自分は絶対やりたくない汚れ仕事に従事してる底辺」と認識してる奴が多数なので死神にはあんまり関わらない。「人間が可哀想…」とか思ってる奴もいるかも。悪魔のことはとにかくうんこだと思ってるやつが多い
■死神は真面目で堅物で融通のきかない、洒落の通じない奴が多い。変に帰属意識と仲間意識は高いけど、外部から見たらそこ含めて無機質で気持ち悪ッ!と思われることが多い。感情に乏しく見える。人間の魂を狩ることに関しては草むしりみたいな感覚。書類の角をきっちり揃えることに喜びを覚える奴が多い
■悪魔的には死神は「おもんない奴」である可能性が高いため、悪魔と死神が仲良しこよしなのは珍しいけど無いわけではない
■悪魔は男でも女でも「遊ぼうよー遊ぼうよー」タイプ。死神は女の子の場合種族的な仕事に厳格なところとちょっとだけほんわかなところが同居してるタイプ。男の場合は種族的に厳格なところが出て外見の素朴な地味さの割にクール。地味クール。
■なんにせよ、へっぽこな下級悪魔と絡んでる時点でノリはいいほうなんだろう。悪魔、しかも下級悪魔と親友関係になれる死神って
あのたった何十文字からここまで世界が広がるってんだから、しかもそれがまた面白いから、しぃちゃん凄いです。あと個人的に、死神の助数詞がさりげなく「柱」な所とかもなんかこう、いいんですよね///(なにいってんだこいつ
ココには冒頭の診断結果キャラ分だけ転載させて頂きましたが、ほかにもいろんな診断結果キャラから話を広げてらっしゃっていて、見ていてとても楽しいです。
許可頂いた事だし早速コピペしよう!と意気揚々とPCからツイッター開いたら固まるわ固まるわもう・・・!なんとか挫けず載せることが出来ましたが、ツイッターはもうちょっとコピペする奴に優しくして欲しいですね。わざとコピペしづらい仕様にされてるのかも分かりませんけどww
ツイッターつながらない
くそ…一気に最後まで書くつもりが寝ちまったぜ!
桃尻太郎は道中、
昔むかし、桃尻太郎と呼ばれる青年がいました。
いつぞピャー君の記事に便乗してジャンプ進のラストを考えていた時にふと思いついた話
ひまちゃんとこのご飯うまそう。美味しそうな撮り方?がうまいと思う。何かの魅力を最大限に引き出せるって凄いよね。
性 別 | 男性 |
年 齢 | 73 |
誕生日 | 8月18日 |
地 域 | 福岡県 |
系 統 | ギャル系 |
職 業 | 小学生 |
血液型 | B型 |