いま、高齢者の4人に1人が認知症か、その予備軍とされています
誰もがなるかもしれない認知症ですが、本人だけでなく介護する家族も周りに相談できず、家に閉じこもってしまうケースがあるといいます
このような現状を地域で支えようという取り組みが広がっています…
小樽市の住宅街に1軒のカフェがあります
この日、認知症の家族を抱える人や認知症への不安を持つ高齢者などがこのカフェに集まりました
「母親が認知症にかかり、介護保険施設にもお世話になりましたが、それがなかったらやっぱり途方に暮れるといいますか、どこに行ったらいいのか、どこにお世話してもらったらいいのかと追い詰められたと思います」
「認知症は人ごとではない
自分のことだと身近に感じています」
「仕事をしながら、その間、認知症の父親が何かやっていないだろうかと思うと落ち着いて仕事もできません」
参加者からは、切実な訴えが聞かれました
この集まりを開いた店主の川嵜ゆかりさんには、認知症の両親を介護した経験があります
2人が亡くなるまで3年近くにわたり、自宅で介護を続けました
川嵜さんも当時、思い通りにいかずに精神的に追い込まれていったといいます
川嵜さんは、当時の状況について、「おとなしくて優しい母が急に一時的に乱暴になり、怒鳴りまくったりして暴れるようなときもありました
そのときは母ではない人を見ているような感じでした
状況は変わらなくても、誰かに話を聞いてほしくなり、弟に電話をかけて話を聞いてもらうと、気持ちは楽になりました」と振り返ります
川嵜さんは、その自らの経験から、認知症の人やその家族が気軽に相談できる場を提供していく活動を始めました
小樽市は、65歳以上の人が人口の4割を占め、高齢化が進んでいます
市内の養護老人ホームや介護施設はほぼ満杯の状態で、認知症の人を家族が自宅で介護しているケースも少なくありません
介護に追われたり相談する人がいなかったりして家に閉じこもり、周囲から孤立してしまうといいます
地域で孤立させないためにどうしていけばよいのか
認知症について、身近に相談できる場所を提供しようというのがこの集まりのねらいです
カフェには、専門の知識を持ったケアマネージャーも訪れます
地域包括支援センターが認知症の勉強会を開いたり、医療機関の受診に関する相談にのったりしています
支援センターでは、「認知症に関する理解をどんどん深めていって、『この地域では認知症になっても安心して暮らせます』というような雰囲気がつくられていく中で、その家族の認知症を隠さなくてもいい、認知症になっても地域の方々がいろいろお手伝いをしてくれる、そんな地域づくりができることが大事だと思っています」と話していました
認知症の人や家族などが気軽に集まって悩みを相談しあう取り組みは、「認知症カフェ」と呼ばれます
開催場所は川嵜さんのような喫茶店やカフェだけでなく、自治体や町内会、地域の高齢者施設などさまざまです
道によりますと、去年3月末現在で32の市町村の合わせて81か所で開かれていて、今年度はさらに多くの所で開かれる見込みです
開催日時や場所は、それぞれの自治体のホームページなどで確認することができます