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小ネタ:「ちゅーしないと出られない密室に好きな人と閉じ込められた時のうちの子の反応」(藍とイリス)

ツイッターのタグより
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「ふざけてんなー」

 背を向けていたのにも関わらず、ゆるんだ顔は隠せなかったようだ。イリスの感想に藍の返事はない。

「でも、事実なんだろ?」

振り返れば予想通りの冷ややかな視線が、イリスの上がりきった口角を刺していた。他に選択肢が無いことは、藍の無言が証明している。

「お手柔らかに」

満面の笑みでイリスは腕を広げた。対照的に、不機嫌な顔を隠しもせず藍は距離を計る。ひとつ諦めたようなため息を落とすと、一切の躊躇いなくイリスの首筋に――蹴りを入れた。しっかりと腰の入った、それはそれは見事なハイキックである。風を切る音がした。


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「で、どこにちゅーしてくれたのかな」

 意識を取り戻したイリスが見たのは天井。その顔にはいまだ笑みが溢れているが、ゆっくりと動かした手は恐る恐る首に当てられてた。

 日々命のやりとりをする場にあって、且つ、そのためにつくられた身。いくら藍の身体能力をもってしても、真っ向からの攻撃をまともにくらうわけがない。自己防衛のための反応を、反射を、警報を、緊張を、イリスは意志の力で抑え込んだ。意識を捨てるための、無謀な無防備。正気の沙汰ではないと呟くものは残念ながらこの密室は居なかった。

 さて、そんなイリスに対し、容赦のない回し蹴りを入れた藍だが。イリスが目を覚ましたときにはすでに部屋には居なかった。脱出が可能になった瞬間、首謀者に始末をつけに行ったに違いない。

「まだ生きてるかな」

 イリスは飛び起きた。藍を追おう。追って、もし万が一まだ首謀者が無事にいたならば、一言礼を言っておかねばなるまい。そして礼を言う相手がもういなかったなら、さっきの問いを彼に直接ぶつけよう。もう一発、キツいのをくらうことを覚悟の上で。





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 「キス」は場所を問わないけど「ちゅー」はそれと違うイメージがあるよ。
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