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だいぶお待たせしてます

お久しぶりです
だいぶリアルが忙しく(環境の変化が主ですが)、その上スランプ状態でなかなかお話が書けず、それもストレスになって悪循環しておりました
今現在は比較的落ち着いて作業できる環境になりましたので、久しぶりに更新をしております

それにしても前回が1月でしたので、約半年くらいですか……
一度筆が止まってしまうと、なかなか感を取り戻せないものです
これからは、また忙しい時期になるまでですが、少しずつ更新していく予定ですのでお楽しみください
書きたいものは溜まっています
それを少しずつ放出していきたいなぁ、とか今年は思っています

新入生たちとゲームをしよう編 屋外編その2

挫けそうになる気持ちを奮い立たせ、リーダー格の少年は受け取った袋を開けた。中にはたしかに、言われた通りの品が入ってる。

「つか、シャツに着替えるのってここでか」

「いや……さすがにここではちょっと……」

リーダー格の隣に立っていた1人が周囲を見回す。薄暗いとはいえ、すぐ後ろを見れば校舎は近い。校舎裏で、人気は少ないからといって誰かが来ないという保証はない。その上、すぐ後ろを振り向けば校舎が見える。窓から見ればすぐに目が入るこの場所を、誰かが見ることもあるかもしれない。

幾人かがちらりとちらりと、校舎を気にする仕草を見せる。その仕草に気づいた部長は、彼らとその視線の先とを見て「あぁ」と手を打った。

「もしかして、あっちで着替えたい? そうだよね……ここ、一応外だし、側から見たら変質者だと思われちゃうかもだよね」

その状況を作ったのはお前だ、と彼らは声を大にして伝えたかったが、ぐっと言葉を噛みしめた。

「気が利かなくてごめんね。ちょっと待ってね」

「たしか……ここに……」と部長がズボンの後ろから小型のトランシーバーを取り出した。

「あー、テステス。そっち聞こえてますか」

『……なんだよ、悪魔』

雑音が少しだけ紛れた後に、不機嫌そうな声が聞こえた。

「申し訳ないけど、そこでもう少し待機してもらってもいい? かわいい後輩たちが着替えたいんだって」

『は? 着替えさせてなかったのかよ』

「いや〜、すっかり忘れてたんだよねぇ。道具詰めるときは覚えてたけど、まぁ覚えてたのはそのときだけだよね」

『はぁ〜? そこは覚えておけよ。無駄な知識は覚えてんのに、必要なことは忘れてんなよな』

トランシーバーから、舌打ちが聞こえる。相手は声からして不機嫌そうだが、部長はやり取りの最中終始笑顔だった。ただし、それは意地の悪そうな笑みである。

「ごめんね〜。そこ寒いだろうけど、もう少し待ってて欲しいなぁ。きっと妹ちゃんも、お兄ちゃんは優しい人だからきっと待ってくれると思います、って思ってるよね〜」

『アイツの言うことは絶対に決まってる。しゃーねーな、待ってやんよ!』

――うわ、単純

このとき、新入生たちの心は1つになった。

「このことはしっかり妹ちゃんに伝えておくからね! じゃあよろしく」

トランシーバーを切って、部長が再びズボンの後ろに戻す。どうやら、ベルトの部分に引っ掛けているようだ。まっすぐ伸びたアンテナ部分が腰に当たっているのだが、部長は気にせずに上着の中にそれを隠す。

「ん? 何かなその顔? 何か言いたいことがある?」

「イイエ、何もナイです」

「そっかー、何もないならいいんだ。じゃあ、着替える場所に案内するねー!」

すぐさま一人が答えたが、片言になっている。それに気づかず、こっちこっちと軽く手を振る部長の姿に、ぞろぞろと彼らは続いた。その足取りは、なぜか重かった。

着替えが終わると、もう一度林の前に集まる。全員大人しく白いシャツを来て、ズボンも体育着のジャージズボンに履き替えている。これは上着を着替え始めた時に、部長が「あ、できればズボンも履き替えた方がいいかも〜」と言ったからだ。

「体育着って、君たちもらってる? ジャージみたいのなんだけど。持ってないなら君たちの分持ってくるけど、どうしようか」

問われた彼らは、お互い顔を見合わせる。一体これから自分たちに何が起こるのだろう、そんな不安に満ちた瞳を互いにしている。

嫌な予感は、時間が過ぎていくごとに増している。これから行われるのはサバゲー、いわゆるサバイバルゲーム、しかもご丁寧にペイント弾を使うらしい。せっかく新調した制服が、ペイント弾で汚れてしまうのは困る。それ以前に、ペイント弾って洗濯で落ちるのだろうか。

「あのー、ズボン借りてもいいっすかね?」

恐る恐る1人が手を挙げた。1人が手を挙げると、幾人かがちらほらと手を挙げる。部長は挙げられた手の数を数え、「半数かー、ちょっと待っててね。今から持ってくる」とすぐさま走って行ってしまった。半数も手を挙げていたのかと思うと、自分だけではないんだと手を挙げていた数人は少し安心する。

意外にも出て行った部長が戻ってくるのは早かった。手の中には大量のズボンが収まっている。

「片っ端から借りてきててよかった! 備えあれば憂いなし、だね!」

誰も「借りてたやつがあったのかよ!!」とツッコミを入れることはなかった。

「じゃあ、僕はさっきの場所で待ってるから。着替え終わったらこっちに来てね」

部長は大量のズボンを教卓の上に置く。「たっのしみだなぁ〜」とズレた鼻歌を歌いながら、彼は教室を出て行ってしまった。

それを見て1人が「これってさ、今なら逃げるチャンスかな?」と呟いたが、誰もそれに答えることはなかった。その上お互いに牽制しあって、というよりは逃げるなんて許さないと見合っていたからか、1人も欠けることなく結局は集合場所に戻ったのだった。

2017/12/17 修正

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