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27

【ジャーナリング 27】

ガチャン! と、勢いよく扉が開く。
「っしゃ! 間に合ったぁ!」
息を切らせて飛び込んできたのはマーガレットである。
「おっ、マーちゃん来た」
「お疲れー」
「お疲れさん、時間ギリギリやな」
集合時間まで五分を切っていた。
マーガレットは、彼のトレードマークになっている、ブタのキャラクターのバッジが付いた赤いニット帽を取った。途端に、中にしまい込んでいる金糸雀色のミディアムヘアがパッと頬を包むように落ちる。成人男性らしからぬ幼げな面立ちをした彼は、髪型が露わになるとまるで乙女のようだ。
脱いだ帽子をうちわ代わりに、顔へ向けてパタパタ振りながら「おーっす」と皆へ応える。そしてぐるりと見渡して、
「あれ、ダージー先生は?」
と言った。
ダージー先生――もといダージリンは、この時間になっても現れる気配がない。
「あいつ、夜勤とかある仕事だっけ?」
「いや、普通に朝から夕方までの。残業するような感じでもない」
「まさかあいつ忘れてんとちゃうやろな。俺、ちゃんとあいつに直接手紙届けたのに」
ジャックが渋い顔をする。
「ありえるよなぁ。ダージー先生なら」
「あー、それならここ来る前に家寄ってけばよかったなぁ。今回は全員参加で、先生にも頼みたいことあるってボスが言ってたし――」
ガチャ、と扉が開いた。
全員の視線が集中する。
「やぁ、諸君。お勤めご苦労」
「お疲れ様です」
集合時間ぴったりに現れたのは、漆黒のコートに身を包んだグラムとデイジーだった。
そしてその後ろから、
「やぁ、みんな。お疲れさん」
くたびれたコートを羽織ったダージリンが、気怠そうに片手を上げた。
「あっダージー先生! なんや、ボスと一緒に来たんか」
「そうだよ。ご覧の通りさ」
「一緒に来たっつーか、俺達がこいつの家寄って拾ってきただけなんだがな」
グラムが親指を立てて背中向こうにいるダージリンを指す。
「ですよね」
「そんなこったろうと思った」
ダージリンの約束事に対するルーズさは今更珍しくもない。面々は納得と頷いた。



* * *



こんばんはふなめですら

秘密のメンバーが集まりました。
時間が、考える時間が、場所が足らない、

26

【ジャーナリング 26】

指定された集合時間まで、あと十五分。
ジャックがイーランから遠征先での話を根掘り葉掘り聞いていると、部屋の扉がノックされた。
「ども、こんばんは」
そして開いた扉から現れたのはヨハンだった。
「おっ、来たな名探偵! お疲れ!」
「お晩でーす」
「お疲れー」
「おっつー」
人数が多くなってきたため、挨拶の声も折り重なってがやがやと賑やかになる。そこらの働き人達が、仕事上がりに始める酒宴の様子とまるで同じだ。
「調子はどう? 兄さん」
ヨハンにそう呼びかけたのはロックロックである。兄さん、と呼びかけたのは実の兄などではなく、ただの愛称だ。
ロックロックの隣に座って、ヨハンが答える。
「何とも言えねぇな。食ってく分の仕事は舞い込むけど、デカい仕事はここの以外からっきしだ。浮気調査とか、婚約候補の素行調査とか、そんなんばっかでうんざりするわ」
「そっか」
「にしても、今回は悪かったな。A国の調査頼んじまって。大変だったろ」
「せやな。ザギに手伝ってもろて、なんとかバレずに帰ってこれたようなもんやで」
「ああ、彼を連れてったのか。よくバレなかったな」
「いや、寧ろ、見つからないように移動するとか、こそこそ隠れてなんかやったりすんのはこいつの十八番やで」
ロックロックは親指で、自分の背後の壁にもたれて腕組みをして立つザギを指す。
ザギは来た時からフードを目深に被っている上、伸びた銀色の前髪が目元を隠しているため、鼻から上の相貌が全く窺えない。
「ああ、まぁ、そりゃそうか。専門家みてぇなもんだもんな」
ヨハンがちらりとザギを見遣る。
ザギは何も言わずに口端を吊り上げた。



* * *



うがーっ!仕事が邪魔過ぎるー!!
創作させろー!!!

25

【ジャーナリング 25】

ヘステイカテアの後に現れたのは、イーランだった。
「お、集まってんなぁ、みんな。うっす」
片手を軽く上げて気さくに笑う。
白亜の隊服を脱いだ彼は、黒いスプリングコートを纏ったラフスタイルだ。
「おうイーラン! 遠征お疲れ!」
「お疲れさんでーす」
「おう。どもども」
銘々に挨拶を交わしながら部屋の奥へ。
はたとジャックが立ち上がる。
「あ、あれやな。これ椅子足りひんよな? ちょっと俺持ってくるわ」
「手伝おうか?」
「ああ、いい、いい。椅子の一個二個、俺一人で十分やから。お前遠征から帰ったばっかで疲れてんやろ? ええからそこ座っとき」
「そうか。悪りぃな」
「おう、ちょっと待っとれ」
ジャックは扉を開けるなり「マスター? 予備の椅子ってどこに――」と言いながら部屋を出ていった。
「どうぞ」
ジャックがいたソファに座っていたヘステイカテアが、彼がいなくなって空いた隣の席へ座るようイーランを促した。
「ん、じゃあ失礼」
イーランは大人しくそこへ腰を下ろした。



* * *



こんばんは、鮒目です。

昨日、今日と、日刊小説(ジャーナリング)のネタをあれやこれやと整理しようとしてるんですが、そうしている内に、

「こいつの此処の設定固めてなかったけどどうしよ、あああ分かった!よし!こうしよう!いやぁなんて可哀想……!」
「ん?そいつをそういう設定にする?そしたらこういう話書けるよね?えっ、そしたら、締めに二人がこういうやり取りをしたらンンーーーー!これはヤバいーーーー!!ギルティーーーー!!!」

……と、次から次へ新たな展開が脳に湧いてきて全然まとまんねぇ。A4用紙が綺麗に埋まる。
紙に書き出していくって、アイディアの引き出し方としては結構効果的なんだなぁ。

でも別にそんな机に向かってなくても、勝手にネタがぽろりする時って起こるよね。
この間帰宅中に「あ、良い名前思いついた。響きがイイ感じの」って、本当に唐突に、キャラの名前だけポンと頭に浮かんで、「でもこの話にこれ以上新キャラ増やす余地ないんだk(ryあっるーーーーーー!全然あっるーーーー!!モデルあの人であいつらのアレっていうキャラにすればいいんだわーーーー!あっはっはっはっはっはっ!!!」って、道端で突然立ち止まってiPhoneにメモ打ったからね。

創作にのめり込んでいる時の私は間違いなくキ◯ガイ。

24

【ジャーナリング 24】

ロックロックとザギが来たことで、地下部屋の中は賑やかになった。
四人であれこれと談笑していると、また一人、部屋を訪れる者が現れた。
「やぁ、みんな。お疲れ様」
扉を開けたのは、ヘステイカテアだった。
役職を示す仕事服ではなく、パッと見では本人と分からないような私服を着ている。
「おう教祖様! ご苦労さんです!」
ジャックの挨拶を皮切りに、
「お疲れ様です」
「お疲れー」
「おっつー」
と、アールグレイ、ロックロック、ザギが挨拶を返した。
ヘステイカテアは眉尻を下げて微笑する。
「ジャック。俺、ここにいる時は教祖やないって」
「あはは! そら分かってるけどな、お前もう俺ん中で教祖ってイメージが染みついてんねん。だから名前より先に肩書きの方が早く口ついて出てまうから、しゃあないねん。許してな、ヘス」
ジャックは片手を顔の前にぴっと立て、笑いながら謝る。



* * *



こんばんは、鮒めぬい、

23

【ジャーナリング 23】

部屋の扉が開いた気配がして、ジャックはそちらへ顔を向けた。
入ってきたのはアールグレイだった。
「おお、久し振りやな。教授」
ジャックは寝ていた身体を起こしながら話しかける。
「うん。久し振り、ジャック。元気そうでなにより」
「まぁな! お前と比べれば大した仕事してへんからな、元気だけは有り余ってんで」
「僕も大した仕事できてないよ。とりあえず軍師様が興味持ちそうな話題を持ってきてはいるけど、目立った成果はないから」
「そっか。やっぱ魔術の研究なんて、そう簡単に進まんよなぁ」
「そうだねぇ」
アールグレイは、とほほ、と眉尻を下げて微笑する。
その後ろで再び扉が開いた。
「どうも、お疲れーっす」
「チーッス」
そう言って現れたのは、ロックロックとザギだった。



* * *



こんばんは、鮒目です。

サロンパスすげぇ。
着実に肩こり軽減されてってるで。
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