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【ジャーナリング 54】

一週間前、帝国内某ホテルで、帝国の軍事情報を秘密裏に譲渡しようとしていた男がいた。男は下級兵が暮らす寄宿舎の舎監であり、多額の金と引き換えに或る男に情報を売り渡していた。二人の男は、待ち伏せしていた警備軍に取引現場を押さえられて共々逮捕され、舎監はその立場を剥奪された上で厳しい処罰を受ける予定である。
もう一人の男は帝国の人間ではなかった。舎監から情報を買い取るために──帝国の機密情報を得るために潜入していた、どこかの国のスパイであることは明白だった。
帝国軍基地本部、捕虜収監区、取調室──通称、拷問部屋。
捕らえられた男は、スパイだと判明したその日から、尋問官による激しい追及を受けていた。
帝国軍の尋問官は皆、人を人とも思わぬ冷血漢であり、相手が抱える秘密を全て暴くため、無慈悲に捕虜を責め苛む。
しかし、此度の捕虜はどんな責め苦を受けようと、己の出自も、これまで受け取ってきた情報についても、何一つ白状しようとしなかった。一向に口を割らない相手に尋問官は苛立ちを隠さない。
そこで、特別要人喚問が実施されることとなった。



* * *



こんばんは、鮒目です。

ここ最近ほぼ毎日チョコ食ってる。仕事の帰りがけに夕飯の材料と一緒にチョコ買って、夕飯のシメのデザートで食ってる。
昨日までリベラをリピートしてたけど、今日はなんとなくイチゴ味のガルボをチョイスした。やっぱチョコを食べるぞ!ってなると50gは欲しいんだよね。50g以下だと物足りない。50gも食べれれば「あーチョコ食べたわぁ。うまかったわぁ」って満足に浸れる。

明日は映画観に行けたらいいなぁ。

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【ジャーナリング 53】

「──ってのが、俺とポチの出会いやな」
「へー、めっちゃええやん」
闇夜の高原を疾走する三つ首の巨犬。
その背に跨り手綱を握る犬飼いと、彼の後ろに乗る殺人鬼。
ジャックは、ザギをA国に潜入させるため、グラムの愛犬を走らせていた。
「いや決して良くはないで? 結果的にな、こうして背中に乗してもらえるくらい仲良くなれたから良かったけど。ここまでくるのに結構危ない目遭ってんねんで」
「ふーん。例えば?」
「思っきりタックルされて肋骨折られたり、甘噛みが強過ぎて肩ンところ何針か縫ったり、川へ遊びに行ったら引きずり込まれて溺れかけたり」
「ほー」
「そのたんびに、それ以上やんなよ! やったら俺死ぬからな! ってしっかり教えてやって、ようやっと力の加減の仕方が身についてきたところなんや。これ俺もっと給料貰ってもええ気がすんねんけどな。だってコイツもうグラムより俺に懐いとるんやで。まともに制御出来んの俺しかおらんと思うし、完全に専門職みたいなもんやん。ザギ氏、どう思う?」
「ブリーダーの給料相場とか知らんから分からんわ」
「んー、そっか、キメラ専門のブリーダーって職業はあんのかなぁ。今度調べるか」
ジャックは喋りながらも、的確な手綱捌きでルートを辿る。夜とはいえ、まともにA国への道を行くと目立つので、遠回りに人が立ち入らない場所を走らせている。
「でも、やっぱええな。俺もこんなん欲しいわ」
ザギはしみじみとこぼす。
「え? ザギもキメラペット欲しいん?」
「別にキメラでなくてもええんやけど、なんか俺に懐いてくれるヤツおったらええなって」
「お前、動物好きなん?」
「せやな。嫌いじゃないで。でも今お前から話聞くまで、動物を育てて可愛がるって考えはなかったな」
「え、そうなん?」
「人間以外の動物なんて、食えるか食えないかでしか見てへんかったから」
「また随分極端やな」
「あぁ、鹿とか結構美味いで。蛙も悪くないな、その辺の池ですぐ捕まえられるし。鶫も焚き火で炙って、脂といっぺんに脳味噌をジュッと啜るのめっちゃ好き」
「お、おう。そうか……」
「よかったら今度ご馳走するで」
「や、そのー、俺はちょっと遠慮しとくわ」
「そんなぁ。遠慮せんでええのに」
「あのー、アレや、ロックロックにでも食べさしたれよ。一番世話ンなってる奴に振る舞ってやったらええやろ」
「あー、せやな。じゃあ帰りに何か捕まえてったろ」
「そうそう。あいつきっと喜ぶで」
そうして話している間に、ポチは目標地点に到着した。A国と高原を隔てる森の入り口に降り立つ。
「じゃあ、こっから潜入スタートや。気をつけろよ」
「ウッス」
暗くてほとんど何も見えない森の中を、しかしザギは躊躇いなく分け入っていく。始めはカサカサと葉擦れの音がしていたが、姿が闇に紛れて完全に見えなくなると、それさえ消えて静かになった。
(灯りも無しによくスイスイ入っていくよなぁ、こんなとこ)
ジャックは再びポチに乗り、来た道を引き返した。



* * *



明日頑張ればお休み!

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【ジャーナリング 52】

「そういえば、お前の犬って何犬?」
「あー、ドーベルマンだな」
「ドーベルマンってアレか、あのー、シュッとしたかっこええ感じの犬やったよな、確か」
「そうそう。そんな感じ」
「へー、ええやん。俺そういうヤツ好きやで」
「そりゃよかった──ああ、そっちじゃないぞ、アイツがいるのはこっちだ」
グラムは、門から邸へ道なりに向かおうとしていたジャックを引き留め、庭を指差した。
「お、そうか。家ん中やなくて外で飼ってんのか」
「ペットとして買ったとはいえ、番犬用として売られてたヤツなんでな」
「なるほどな。……ってことは、そいつ噛んだりする?」
「まぁ、そうだな。気に入らない相手には噛みついたりするな。でもそれも上手く躾ければいいだけだ。ほら見ろ、あれが犬小屋だ」
「ああ、あれが……え、あの倉庫みたいなの?」
「そう」
「え? デカくない?」
「狭いと可哀想だろ」
「あ、そういう?」
「うん」
二人は犬小屋の前に着いた。
小屋の両開きの扉の取っ手には鎖が巻きついており、頑丈そうな南京錠が掛けられている。
「なんだびっくりした、一瞬小屋くらいデカいヤツでも居んのかと思ったわ」
「ああ。サイズはこれで丁度いいくらいだ」
「え? これで丁度ええくらい?」
グラムが鎖の錠を持っていた鍵で開ける。ジャラリと滑り落ちた鎖を巻き取って、取っ手に両手をかける。
「開けるぞ、ちょっと離れてろ」
「あの、グラムさん? 中に居るのってホンマに──」
扉を開けた途端、小屋の奥からダダダダダッと何かが駆け寄ってくる足音がする。
「うおぁ!!?」
かと思えば、何かが小屋から勢いよく飛び出してきた。
驚いたジャックは背中から倒れて尻餅をつく。
「はっ!? えぇ!? お前これまさか……!」
驚き、見上げるジャックの目の前にいるのは、小山程もある三つ首の超大型犬。
「コイツが俺のペット。純血のドーベルマンから造られたキメラ、ケルベロスのポチだ」
「ぽち!!?」
ジャックは目を剥く。見た目の凶悪さと名前の可愛らしさが全く噛み合っていない。
グラムはチワワでも見ているような目で、にこにこしながらポチの頭の一つを撫でている。
「いやお前これポチって! 絶対もっと似合う名前あったやろ! この図体でポチはないで!」
「なにぃ! これ以上ない程ぴったりの名前やろが!」
「いやもっとこう、ガンダルフとか、バンギラスとか、なんかそういうゴツい感じの思いつかんかったんかよ!」
「こんな可愛いヤツにそんな蛮族みたいな名前つけられるか!」
グラムのその発言で、ジャックは今更ながら思い出す。
かつてグラムに誘われてキメラショップを訪れた際、彼が、頭部にイソギンチャクの触手が無数に生えた、一つ目のライオンもどきのような、やたら気味の悪いキメラを見て「あーペットにしたいなぁ」と呟いていたことを。そのライオンもどきもペット用ではなく、コロシアムで戦士と戦わせるために造られた見世物用の生物兵器だった。
(あーそうやった……こいつ、動物の好みが魔王かってぐらい悪趣味やったっけ……)
立ち上がったジャックはポチを観察する。見た目こそ恐ろしいが、グラムに大人しく撫でられているのを見るに、ある程度人馴れしているようだ。これなら自分でもなんとか面倒を見れるか?
などと考えながら、自分も頭を撫でてみようと手を伸ばすと、グァルルル! と牙も剥き出しに唸られた。
「ひぇっ!?」
思わず手を引っ込める。
「あ、不用意に手ぇ出さん方がいいぞ。慣れてない人間には結構容赦ないからな。それでウチの使用人を二人病院送りにしてっから」
「はぁああ!!?」
「だからまずはお前が敵じゃないってことを分からせてやらんとな。ほらポチー、こいつがお前の新しいおも……世話係だぞー。いっぱい遊んでもらえー」
「おい待てェ! お前今オモチャって言ったやろ! 俺のこと新しいオモチャって言おうとしたやろ! ふざけんな!」
「いやいや、気の所為、気の所為。じゃあ早速だがこれを身につけて」
「いやおま、軽く流すな! って、ちょ、なにっ!? 何勝手に着せてんの!?」
グラムは実に手際よくジャックに簡易防具を装着させた。
「こんなんどっから出したん……え、ちょ、グラムさん? あの、ポチ君めっちゃ俺のこと睨んでくるんですけど?」
「ああ、この防具着けた人間とは鬼ごっこできるって覚えてるんだ。ほら見ろ、尻尾振ってるだろ。お前を追いかけるゴーサインが出るの待ってんだ。賢いやろ」
「ちょちょちょちょちょ待って待って待って、それどう考えてもヤバい──」
「じゃあ三秒数えたらゴー出すからな。いくぞ。さーん、にーぃ、」
「いやムリムリムリムリムリムリ! マジでシャレにならんて! ああもうくっそー!!」
ジャックは脱兎の如く駆け出す。
「いーち……ゴー!」
グラムの号令を受けて、ポチはロケットのようにジャックの跡を追いかけていく。
「うおおおおおおお!! 捕まってたまるかああああああああ!!!」
雄叫びを上げて走るジャックと、それを追いかける地獄の番犬の名を冠する巨犬。
必死な友人の姿にグラムは高笑いを隠さない。
「いやぁ、こいつァおもしれぇな。ちょっとデイジー呼んでこよう」
この無茶な追いかけっこは、グラムに呼びつけられたデイジーが「さすがにもうやめてあげて」と言うまで続いた。



* * *



ギャグ文はエロ文よりも書くのが苦手、というかジャンルとしては一番不得手なんですが、これは書いててめっちゃ楽しかったです。

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【ジャーナリング 51】

提示された金額は、クビにされた仕事の月給の二倍だった。
「え、お前普通に仕事あんだろ」
目の色変えて飛びついたジャックに、グラムは首を傾げる。
「いや実はな、正直言うとついさっきクビにされた」
「マジで!? え、お前何やらかしたん?」
「大口の取引先に間違えて激安価格で請求書送っちまってな、そんで相手が金送ってきた後に、金額間違えたから差額くれって言ったんやけど、いっぺんそれでもう取引成立したんやからって押し切られて、払ってもらえへんかった」
「ほう。損失額は?」
「せんさんびゃく……」
「ふははははっ! お前そらクビになるわ!!」
グラムは腹を抱えて爆笑した。
「あははははっ! せやな! 俺も自分の店にそんなん仕出かしたヤツおったら即クビにするわ! あっはっはっはっはっ!!」
相手につられて、ジャックも自分の不幸を笑い飛ばす。
「ふふふっ……そうかそうか、じゃあお前今ガチで手隙なんだな」
「せやで! なんやったら今からそのワンちゃんに会いに行ってもええくらいやで」
「そうだな、お前ならアイツと上手く遊べそうだな。いいぞ、会わせてやる」
「おう!」
(いやぁ、ツイとんなぁ俺! クビにされても即行仕事見つかるとか。しかも犬の世話してるだけで給料が前の倍やろ? おまけにグラムん家やから、変に気ィ遣う心配もないし。ええこと尽くしやな!)
ジャックは鼻歌でも歌いたい気分でグラムについていく。無職の危機を難なく回避できた嬉しさに安心しきっていた彼は、グラムがどんな犬を飼っているのかろくに確認しないまま、かの邸宅に足を踏み入れた。



* * *



この世界の貨幣単位を「円」にする気はなかった(白目)睡魔が憎い(憎い)

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【ジャーナリング 50】

夏真っ盛りの晴天の日のこと。
真昼のオフィスで、慈悲も降らない雷が落ちた。
「なんてことをしてくれたんだ! もうお前は来なくていい! クビだ!!!」
額に青筋を浮かべた上司に怒鳴りつけられた部下は、「えーっそんな殺生な!」と上司に取り縋ったが、すげなくその手を振り払われ、あれよあれよと荷物をまとめさせられて、炎天下の大通りに放り出された。
「くっそー、そんなクビにする程のミスでもないやろ、あんなん……!」
文句を垂れながら、恨めしげに、未練がましく、出てきた店をちらりと振り返る。
一代で富を築いた祖父に憧れて、自分も同じ仕事をしたいと織物商の雇われ人になったものの、どうやら父に似て、祖父の才を受け継ぎ損ねたらしい。この通り、無情な解雇通告を言い渡されてしまった。情けないやら、悲しいやら。
「あーあ……どうすっかなぁ」
感傷に浸っている場合じゃない。早く次の仕事を探さなくては。とは思うものの、ブルーな気持ちが彼のやる気を削いで仕方ない。
溜め息がほろほろ、ほろほろ、何度も出る。
今日はもう帰って寝てしまおう。そう決めて、とぼとぼと道を歩いていると、
「ジャック」
彼を呼び止める声があった。
俯いていた顔を上げると、そこには悪友──もとい学生時代からの友人がいた。
「おお。なんや、グラムか。今日は非番か?」
「まぁ、そんなところだ。それよりどうした、浮かない顔して」
「あー、うん、ちょっとな、仕事でヘマしてな。まぁ、そんな大したことやないから、気にせんといて」
ジャックはプライドが高い人間でもないが、全く自尊心がない人間でもない。家柄良く、財源豊富で、才能に溢れた友人の前で、ささやかな見栄を張る。
「そうか。ところで、お前の知り合いに犬好きで仕事探してる奴とかっていないか?」
「へ?」
「俺、最近犬買ったんだよ。可愛いヤツなんだが、俺も忙しいからなかなか面倒を見てやれなくてな。代わりに世話してくれる人を探してるんだが、俺の身近じゃ適任者が見つからなくて……」
「ほーん。犬の世話ねぇ。具体的には何するん?」
「朝と夕方に散歩と餌やり、あとはまぁ適宜必要な世話をしてくれればいい。必要な道具があればこちらで用意する」
「それっていくら貰えるん?」
「そうだな、月にXX万円ぐらい」
「マジで!? あっじゃあそれ俺やるわ!」



* * *



ねっむ、
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