と言うわけで平安パロの続きです
だいぶ捏造しました
ですので、この時代にこんなのあったけ?などというツッコミは避けていただきたい・・・
結構物語は進んで、少しオチが分かってくるかも
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完全オリジナルな(腐的な表現も含むかもしれない)小説と日々のブログです。時折絵も書いたりしてます。なので閲覧は自己責任でお願いします。誤字脱字のご連絡、感想などはお気軽にどうぞ。ここに載せてあるイラスト、小説の無断転載等はご遠慮ください。
と言うわけで平安パロの続きです
その機会は意外と早いうちにやってきた。
夕霧たちの父が、出仕する際に夕霧を内裏に連れて行ってくれたからである。これにはおそらく蛍斗の口ぞえもあったのだろう、余りにもすんなりと父が内裏に連れてきてくれたことに、夕霧は嬉しく思った。もちろん、兄である蛍斗にも感謝してはいたのだが、内裏に入る際に蛍斗と一緒に行動しなければならない、と父に言われたときには、夕霧は兄を恨んだ。
だけれども、あの人に会うことが出来る、そう考えると気は晴れた。その前に、夕霧は内裏の内部についてよく知らない。だから案内をしてくれる兄には(とりあえず少しだけ)感謝していた。
「さて夕霧。ここが大内裏(平安宮)だ。決して離れないように。あと絶対に顔を見せるな。ここにはいろんな人がいる。万が一、お前の顔を見て、求婚をする輩がいないとは限らないからな」
いつもよりも少しきっちりとした黒の束帯(文官の服装。ただし、蛍斗は武官であった)を着た蛍斗は、夕霧がいつも見ている兄とは少し違って見えた。
「・・・・はい、お兄様。でもあの人に会ったらいいでしょう?どうせ顔を見られているんですもの」
夕霧は許しを請うようにわざと薄桃色の小袿の袖を目元にやって少し瞳を潤ませてみた。女御である菊がよく牛飼いの童にお願いをするときに使っているのを見たことがある。あとで菊に聞けば、「これで男は何でも言う事を利く」と言っていた。
夕霧はそれが兄に効くとは思っていなかったが、とりあえず物が試しに使ってみる事にした。
「・・・・ダメ?」(うるうる)
「・・・・・・・・・・だ・・・・駄目だ」
「お願い、お兄様。一生のお願いだから・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わ、わかった。わかったからその目は止ろ!」
・・・これは使える、そう夕霧はほくそ笑んだ。
二人はとりあえず蛍斗の出仕の場である兵部省に行くことになった。(ただ外で立っていても注目の的になっていたため急遽移動しただけである)
兵部省は軍事や武官の人事などを掌っており、その場は朱雀門のすぐ近くにある。蛍斗はここで武官として勤務しているのだが、実は彼は以前は文官として出仕していたのだった。そのためか束帯で出仕することを許されていた。(どうやら、兵部省で身分の上の方が蛍斗を引き入れたそうで、そのために罪滅ぼしかこのような許可があったらしい)
「ここがお兄様の・・・」
「・・あぁ。むさくるしいが、いい場だ。私は結構気に入っている」
夕霧はちらりと兄の顔を盗み見て、すぐに視線を逸らした。兄のあのように優しく微笑んだ姿など見たことがなかったのだ。新しい兄の一面を見て、恥ずかしくなって顔を逸らした。
逸らしたのだが、その視線の先には、夕霧が会いたかったその人がいた。
「あ!」
目を見開いて、先ほどの恥ずかしさもどこかに消え、ただ彼と会えた嬉しさだけが夕霧の胸をいっぱいにした。
この前と同じ服装の彼はこちらにまだ気づいてはいなかったが、夕霧は声をかけたくてうずうず身体を震わした。
「お兄様・・・あの方・・・」
少し小声で隣にいる兄に話しかけるが蛍斗は気付かず、暢気に「どうした?」と訊ねるだけ。
ちらりと横目で見れば、もう彼はこちらに近づいて来ていた。
「だから、お兄様!あの方が・・「お、蛍斗!」・・・・って、え?」
「お前はまた遅れてきたのか。ったく、服装くらいきちんとしろって何回言ったらわかるんだ」
「だって、めんどくせーんだよ。別に誰にも言われないからいいだろ?」
「俺は毎回注意してるって言ってんだろうが!・・・・・っと、ごめんな夕霧。お前のことを少し忘れてたよ。お前が言ってたのはコイツだろう?」
「え、なになに?もしかしてこの子が噂の蛍斗の妹さん?」
唖然として二人の顔を見つめていた夕霧には二人の関係がよくわからなかった。だから、突然話を振られたって、何を言葉として紡げばいいのか分からないのは当たり前である。
「あ、あの・・・・以前はありがとうございました」
「・・・以前?前に何処か出会ったことあったっけ?」
「お前なぁ・・・前女とぶつかって助けたことがあるだろう」
「・・・・・あぁ!あのときのお嬢さんが君だったの?全然気付かなかったよ(というか忘れてたよ)」
明るい口調で苦笑する彼に、夕霧は少し固まった。自分はあれだけ感謝して、そしてもう一度会いたいとまで思ったのに、彼にとっては忘却の彼方に行かせるほどの他愛もないことだったのだ。あれほどまでに切望し、期待に胸を膨らませていた夕霧にとってこのことはショックの何者でもなかった。
「そういえばお前、何しに来たんだよ。いつもは来ないくせに」
「だって、なんか今日は蛍斗に会える気がしたからさ」
「・・・なんだよ、それ」
「それにそろそろ出仕しないと親父に怒られそうでさ。この前なんて一月くらい出仕しなかっただけで怒鳴られたんだぜ?横暴だよな」
「それだけお前に期待してるんだろ。いい加減真面目に出仕しろよ、岑雪(みねゆき)」
わかったって、蛍斗。
そう、恋焦がれる彼――岑雪が笑っている。夕霧は笑いあう二人の様子を見て、少し違和感を覚えた。だけれどもそのときは、この違和感はただの友情、しかも身分という上下関係を無視したものだと思っていた。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 2月15日 |
系 統 | 普通系 |
血液型 | A型 |