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覆面作家企画Cブロック感想(ネタバレあり)

C01 天翔る竜と天下無双のドラゴン娘!(仮)
冒頭のぶっ飛び具合と飛び出すルー語に吹きました。そこから本編開始への落差にしばし呆然(笑)この先にも例の司会者が待ち構えているのではないかと身構えていましたが、語られるのは竜と人のお話でした。竜はロマンですね!好きです。女性との組み合わせも好みですが、生物学的には「雌」であるにも関わらず、その身に宿るのは人間の男性の心という設定も面白かったです。どこまでも空を駆けていく二人の姿が切なさを呼びますが……ところで司会者は誰なのかとても気になります。

C02 桜都狂騒激情
桜が咲き誇る都に轟く東の笑い声……すみません、どうしても幻想的な風景を背に仁王立ちで腰に手をあてて高笑いしている東が思い浮かんで仕方ない。事件の始まりを見るに血と怨念にまみれた陰惨な事件を和製ホームズとワトソンが解決!なのですが、後者はそのままだとして、陰惨になりそうな部分を北と東のキャラの濃さが上手いこと中和してくれているように思います。あと、踏鞴という漢字が目を引きました。こういう字を書くんですねえ。事件があれば東奔西走ならぬ、東奔北走になるんでしょうか(笑)

C03 時よ止まれ、汝は美しい
ファウストだ!メフィストだ!と思ったはいいけどそこまでで、それが現代風の話にどう繋がっていくのかと思いきや見事に繋がりました。そこまで言われたら健ちゃんじゃなくてもそう思ってしまいますがな。夜に出会う白いワンピを着た見知らぬ女性は彼岸の人を疑いたくなる。そして紡がれるファンタジーからの、薄い膜を破るように明らかになった現実。そして最後にゆるりと顔を表す非現実の世界の二段構えが見事でした。迷い込んでしまった、逃げられない、という怖さが感じられます。

C04 ほんとうの救世主
これまた苦いものが広がるお話で、それを見事に書ききる筆致も見事です。魔王討伐に隠された真実の、奥の奥。ファンタジーの裏側を一回捻って、「魔王」の正体と帝国が隠す真理が露になっていくことで、醜く浮かび上がる人々の心。火刑のシーンは壮絶ながら、これでイリアナは救われるのだろうと思ったら。これが彼女が望んだ結果なのか、そうではないのか、無邪気に「ほんとうの救世主」と呼ばわる子供の姿が残酷だなあと思いました。むしろ皮肉なんだろうか、これは。

C05 ともしびの揺れる
語り口調で電話が出てくるとなるともうホラーの予感しかせず…途中途中にさしこまれるエピソードが妙にリアルなので、筆者かお知り合いの体験談の交えているのかなと思いました。しかし語られるのはホラーなどではなく、身近に潜む「火が吹き消される」瞬間。どこで火が出てくるんだろうと思っていたら、実は冒頭からずっと背景に横たわっていたんですね。関係なさそうな話が一つに集約される時、「彼女」や「男」や「私」の正体が明らかになることで、最後のピースが埋まる。現実の悲しさ。

C06 あの温もりを思い出せない
どこか危ういバランスの上に成り立つ、この年頃の女の子の心境が文章から滲み出てくるようでした。感情を押し殺しているようで殺し切れていない、誰かに気づいてほしいわけではない、何となくこれぐらいの女の子って生死がどちらも等距離にあるような感じがするんですよね。早瀬の危うさの原因はそれ以外にもあるようで、しかしぼんやりとほのめかされることで淡い恋心のようにも見える。でも彼女が持つガソリンやそれに点いたであろう火の激しさの方が、早瀬には近かったのかなと思いました。

C07 深夜ドラマは30分ものに限る
冒頭は一緒にビールでも飲んで楽しく読ませてもらいます、のつもりでしたが、暗転とローソクの火によって始まるまさかの異世界トリップ。…異世界みたいなもんですよね。啓太のツッコミスキルの高さに始終笑っているようなものでしたが、その中で展開されてるいわゆる「お約束」のミステリはしっかりしたものでした。でもヅラ…。これ一時間とか二時間ものだったらどうなるんでしょうね。とりあえず次回、海の家で繰り広げられる「ニート探偵の事件簿」を楽しみにしております。

C08 火刑に処す
乙女心の揺れる恋心の機微が、一つ一つ、刺繍を縫い込むように丁寧に描かれていると思いました。淡々と語られる南雲の過去に刻子が入り込み、その中に拒絶に似たものを見つける過程がまた悲しい。でも捨てきれない想いがまだ刻子の中には燻っているように見えまして…更に言うなら、南雲の心は燃え尽きて灰となってしまっても、その中で燻る火がずっと眠っているんじゃなかろうかと。そういう点でも無意識に南雲に惹かれたんですかねえ。

C09 真夏のブーメラン
いやあ遠い青春がブーメランと共にやってきました。これが噂のCブロック名物パンツでしょうか。立派な男同士の勝負と青春と再生です。プールの水面と彼らの友情と恋が眩しい。…ほんと眩しいな!ふとしたアクシデントにより戻った過去で取り戻したもの。コータがあの子らに注意したことは、現在へと繋がったんだろうかと気になります。スポーツしている学生さんたちって本当に青春していて微笑ましいです。鮮烈な夏の色彩と共に夏休みの一日を追体験させてもらいました。感想というより回想のようになってすみません…。

C10 あなたの健康を損なうおそれがあります
どのあたりから不健康がスタートするのだろうと思ったら、なるほど(笑)超能力というと一度は誰もが憧れる、小説の題材にも使いたくなる代物ですが、まさかの不健康ESPに笑いました。酒と煙草の迷コンビ。獺祭とかちょっと!本当にもったいない!日頃からそういう物を嗜まれている方なのかなあと思いました。剣に使うより飲んでみたいです。日常にも内臓にも刺激の強そうな職場ですが、宮田には鈴木と一緒に頑張ってほしいなあ。特別手当とかありそうな気がします。この会社の制度そのものもちょっと気になりました(笑)

C11 この気持ちにつける名前をまだ知らない
ティカがいったい何歳なんだろうと考えてしまう…エミールはその容姿端麗さからさほど上の印象はないんですが、ティカの小さな体で跳ね回るように動く姿とか笑い方とか普通に可愛いわ!もう!と思っていた身としては、そんなに上の年齢じゃないのかなあとか。幻想的な風景の中で繰り広げられるティカの奮闘ぶりが可愛くて。エミール頼むから素直になってと心の底から思う。うわあ萌える。花の形をした提灯を売る提灯屋さんなど、端々にひそむアイテムが可愛らしいです。イラストにしたら面白そうだなあ。

C12 緋蓮
紫樹の心は硝子のようなものだったんだなと思いました。故郷での穏やかな生活と、自身の病と、それによる父親への負い目によって作られた硝子。これはこれで美しい物。紫樹の容姿のように。ですが、そこへ現れた魁によって硝子は変容していくわけで。でも最初は決して穏やかな火による変容ではなく、しかし、真実「穏やかな火」によって変容するのを紫樹は拒んでいたのかなとか。心の変化を受け入れた紫樹と魁の話も気になりますが、海路を断たれた大陸など細かな設定も多いので、他の国の話も気になるところ。
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