あっという間に親が寝ちゃったので、こそこそパソコンと向き合っているわけですが。でもあまり長くいられません私も眠い。携帯からだと長文を打つのもめんどくさいし、そんな気分で創作について語るのもなあ……なあ、とネタを探しつつほっといていた創作カテゴリ。まあぶっちゃけるも何も本気でネタがないだけなんですが。

言いたいこと、書きたいことは大抵、小説にしちゃってるしね。それ以上何を言うかといったら、もう裏話しかないんだけど、書いていくうちにその裏話も忘れて、書ききった小説しか残りませんよ、みたいな。うわあ何これ寂しい。
なんか小話でも書いてみますか。
秋が近いし。

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 夏の終わりが近づいている。感覚として思うだけだったそれは、日を追うごとに確かな足音として嵐の耳にも届いていた。
 八月の終わり間近の台風は秋への入り口のようなものだ。いっそのこと台風が来て、一日でも夏休みを伸ばしてくれないかと子供心に願った記憶がある。しかし、願い虚しく、そう簡単には来てはくれず、夏休みは無情にも終わりを告げ、新学期と共に秋の訪れを感じるのだ。
 朝は夜の冷え込みをそのまま引き継ぎ、清廉と引き締まった空気は顔に心地よい。だが、まだ夏の輝きを持った太陽が空気を暖め、道行く人の顔をじりじりと照らし出すのにそう時間はかからなかった。空気が透明度を増した分、肌を刺す太陽の光は更に強さを増したように思う。
 昼間ともなれば陽光はより一層輝きを増すが、一歩日陰に入ればそこには秋の空気が鎮座している。吸い込めば乾いた土や草木の香りがし、あのかき分けなければ進めないような重苦しい夏の空気とは大きく異なった。少し動けば吹き出す汗も、流れる風がひんやりと拭いとってくれる。
 夕方になるとどこかで雨を降らせたらしい黒い雲が、ちぎれつつ、集まりつつ進軍する姿を、夕暮れ時の空に見る。 昼には見なかった雨の名残は夏のしぶとさを思わせたが、低い所を進む黒い雲の遥か上を、悠然と進む白い雲は高く、輪郭の優しくなった顔で夕焼けを映しこんでいた。低きを流れる暗雲と高きを行く白い雲は季節の境を見せるようであり、そのどちらも澄み渡った空気の向こうにそっとある。
 嵐は立ち止まり、空を仰いで深呼吸した。喉の奥を通る風は昼の温もりを残しつつ、ほのかに冷たい。
 通り過ぎる親子連れのうち、まだ歩き出したばかりのような子供の方が空を指差し、その先を見て母親が相槌を打っている。嵐もつられて見て、ふ、と顔をほころばせた。
──そうか、あれが見えるのか。
 子供の指差す先、暗雲と白い雲の間を薄い虹が橋をかける。
 その上を白いイノシシがのんびりと歩いていたが、ふっとこちらに気付いて立ち止まる。すると、通り過ぎた嵐の背後で子供の歓声が聞こえた。
 イノシシはその声に満足したかのように目を細め、次いで嵐を見つめた後にふい、と視線を外し、またとことこと虹の上を歩いて消えていく。
 いずれ来る季節のために、一足早く姿を見せたというところだろうか。脇をすい、と飛んでいくトンボを眺め、嵐はのんびりと歩を進めながら、季節の足音を聞いた。
 もうすぐ、秋が来る。
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その場で書いたもので申し訳ありませんが、今日見た風景だったりを嵐に追体験アンド実況。
残念ながらイノシシは見てません。虹はこれじゃないけど見た。主虹と副虹をばっちり。

さ、寝よう。