WOWOWの1ヶ月500円キャンペーンに参加しているため、思いがけず「キングコング」を見ることが出来ました。
新旧といっても旧は76年版なのでカラーです。新は05年のもの。
「キングコング」76年版
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05年版を見た後でこれを書いているため、いささか比べたような感想になります。
これ絶対着ぐるみだろとわかる。あれほど背筋伸ばして歩けるか、と突っ込むもよし、そこは無視して映画に没頭するもよし。
細かいところが雑だが、「キングコング」という一種のブランド名のオブラートに包まれているため、そこんところは無視してさっさと見ようぜ、という勢い任せの映画になっている。ところが、それがあまり嫌でないからさすがは「キングコング」といったところ。
どちらかというと人間目線によるコングの話。そのためコングの内情描写は少なく、感情移入は出来なかった。このあたりで少し興醒めせざるを得なくなる。
とはいえ、人間にとっての怪物というイメージのみでは終わらず、合間合間に挟むコングの優しい側面や、登場人物たちの浅ましさ(元々、主人公は好きにならない方ですが、見ている内に好感は持てるもの。この映画の主人公二人は最後まで好きになれませんでした)によって、少々ほろ苦さが残る結末を迎える。
些細な粗は見逃して、もしくは突っ込みながら見るのがいいかもしれない。
真面目に見ると妙なしこりが残る。
「キングコング」05年版
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「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が作り上げた映画。33年版へのオマージュ。
映像が綺麗なのは当たり前だが、あえて「綺麗」と言わしめるほどに見事。指輪物語で培った技術が余すところなく使われている。
コングがいる島の砦の俯瞰などは指輪物語ファンにも楽しめる。その中で一つだけ気になったのが、島の内部に向けられた砦の門の形がサウロンに似ていないかな、と。偶然かどうかはわからないが、あえてやったのなら遊びがきいている。
76年版とは違い、コングの動きもさることながら(背中が白い(ホワイトバック)のは強いゴリラの証だったと思います)、その表情や態度、主人公の女性との交流が丁寧に描かれているために、コングへ非常に好感が持てる。ただの獣ではないことを印象づけた上での、女性を守りながらのアクションシーンは見事。
ただ、恐竜などあまりに色々出てくるので、一瞬何の映画か忘れる時がある。指輪物語で出せなかった怪物をここで出し尽くしてやろうとでも思ったのか、と邪推してしまうほどに多い。
ちなみに短時間だが、虫や軟体生物系が大挙して出てくるシーンがあるので、苦手な方はそのあたりになったら目を閉じていることをお勧めする。
島でのコングと女性の交流が丁寧に描かれていたため、街での一つ一つの場面がとても印象に残る。特に公園での穏やかなシーンからエンパイアステートビルのシーンにかけての緩急は、観客を掴んで離さない。
結末はやはりほろ苦いもので、しかし76年版よりは何故か辛さは少ない。人間とコング、本当はどちらが獣かを確実に問いかけた結果だからだろうか。
二作とも、先述したように人間とコング、本当はどちらが獣かを問いかけたもの。しかし76年版はその答えを観客に委ねた形にしているように思うため、05年版の方がすっきり終わるのだろう。
どちらか一作見るならば、05年版がお勧め。機会があれば両方どうぞ。私は残念ながら今のところ、76年版の続編にあたる「キングコング2」と33年版は見れていない。
ちなみに、76年版と05年版では時代設定が違うため、コングがニューヨークで上るあのシーンに使われるビルが違う。
前者は世界貿易センタービル、後者はエンパイアステートビル(33年版も同)。
見比べるのもまた一興。