*****
都へは、大人が急いでも3月はかかるらしい。
さらにはタミという少女もいるので、あまり急がせることもできない。
旅費のこともあり、臣は行く先々で日雇いの仕事を探しながら旅を続けていた。
ようやく1月経ったころ、その日は運よく旅館の仕事を貰うことができて、臣とタミは揃って旅館に泊まっていた。
泊まると言っても使用人たちの部屋の一室だが、その旅館自慢の露天風呂に入ってもよいと言われ自然と顔が綻ぶ。
「お風呂、気持ちよかったねー!」
客の使っていない時間に風呂に行き、タミがほくほくと体から湯気を立てながら髪をぬぐった。
そのようすをほほえましく見ながら、臣も頷く。
「レンキにいちゃんも、来れたらよかったのに」
「あ、あぁそうだね」
煉鬼というのは、呪いにかかっていたタミの病を治してくれた鬼の名前だ。どういうわけか、その鬼と臣は夫婦になるという約束を交わしてしまい、これまでも夜な夜な無体なことをされている。
しかし、この町に来るひとつ前の村でのこと。手伝った仕事の男手が足りないと臣が頼み込み煉鬼を手伝わせたところ、その力持ちっぷりを頭領が気に入ってしまい、しばらく煉鬼に手伝ってほしいと願い出られてしまったのだ。
煉鬼はもちろん嫌がった。だが同じ頃タミが熱を出し、その治療に持ち合わせを全部使ってしまっていたためどうしても旅の資金が必要だったのだ。そういうわけで、臣はどうにかして煉鬼に手伝ってもらえるよう頼み、他に仕事の無かったその村を出て、臣とタミは先にこの町にやってきている。
そのときのことを思い出して、臣はカッと頬が熱くなるのを感じた。
必死に頼み込んだわけだが、もちろんすんなり煉鬼が頷くはずがなかったのだ。
*
「鬼を働かせようってのか?」
泊まらせて貰っている頭領の屋敷で、煉鬼がガラの悪い声をあげた。
う、と言葉に詰まりながら、それでも臣は指をついて頭を下げる。
「お願いします…。もう、お金がなくって」
薬はとても高価なものだと、やりくりし始めてようやく知った臣だ。
「だから俺に任せろっつったろうが」
返す言葉もなく、臣はしゅんと項垂れた。
そうなのだ。タミが熱を出した時、煉鬼は仕方なさそうではあったが助け船を出そうとしてくれていた。以前のように不思議な術で病魔を払ってやると。
しかしその代償に体を求められて、恥ずかしさのあまり断ってしまったのである。
だがこうなってしまっては結局同じことだったと、臣は反省も一塩だった。
「しょうがねぇな…」
頭を掻きながらつぶやいた煉鬼をちらっと見上げて、了承してくれるなら多少の求めに応じようと臣は覚悟を決めた。
「臣。何をされても耐えると約束するか?」
「う…、はい…」
「よし」
ああ、やっぱりまたいつものようにぐちゃぐちゃのどろどろにさせられるのかと、臣は尻をもぞもぞさせた。
*
服を脱いで、四つん這いになって尻をこっちに向けろ。そう言われて臣はもそもそと着物を脱ぎ、言われた通りの姿勢を取った。
「叫ぶなよ」
叫ぶようなことをしようというのだろうかと、臣は背後の鬼の気配が動くのをひやひやながら待つ。
例によって例のごとく、隣の、ついたての向こうには妹のタミが寝ているため、声はもちろん物音にも気をつけなければならない。
「はい…」
「まぁ、安心しろや。痛ぇことはしないからよ」
近づく動き。ツンと尻に冷たい何かがあたってヒクリと臣は体を震わせた。
顔を近づけているのか、続けてペロペロと舐められる。
「ぅんっ…」
「尻たぶを広げな」
羞恥をおして、体を肩と顔で支えながら両手を後ろに回し、広げた。ふ、と満足そうに息がかかる。
また表面をペロペロと舐め、臣が息をつく時を見計らうように時折中までも舐められた。
鬼の舌は、どうしてこんなに長いんだ。
そう思いながら、しかし、それにしてはいつもより深く入ってこないものだと首を傾げる。
すると、後ろから少し不服そうな声が上がった。
「ちっ、鼻が邪魔で舐めにくいな」
*****
久しぶりの鬼と私です。エロに突入する前に力尽きてごめんなさい!
また近々書けそうなときに進めます。
好みが別れそうなので先に言っておきまね。
獣姦だよ★