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拍手・メールお返事


鬼と私のエロ道中が完結して、たくさんの拍手・コメント、そしてメールをいただき、本当にありがとうございます!

おひとりおひとりに返すのが礼儀だとわかっているのですが、想像以上にたくさんの温かい言葉をいただき、この場を借りて皆様へのお礼の言葉にさせていただきたく思います。ちゃんとお返事できなくてすみません!!

ややこのお話も期待されているみたいですので、いつか、煉鬼に似たやんちゃな坊やの話も書きたいなぁと思います。いつになるかわかりませんが、長い気持ちで待っていただけると嬉しいです!

それでは改めまして、皆様ありがとうございました!!

結婚式シーズンなので


10月は結婚式が多いと聞いたので、グルとチュヤの結婚式でもしようかなと!

子豚な王子様9



城への帰り道、王様と王妃は今後のことを話しあいました。

「…私達に、出来ることはないのかしら…」

「あの子の外見にとらわれず、心を見てくれる誰かが、いてくれたらいいのだが」

その為には今よりももっと、いろんな人と出会って、話をしてみないといけません。
しかし城に戻って、二人はそれはとても難しそうだと感じました。

例の、ティカルにボコボコにされた大臣が、城の従者たちにティカルに振るわれた暴力をそれは大袈裟に言って回っていたからです。 
あんな非道な者が、次期王になってはこの国は終わる。
騒動の真相を知らない従者たちは、それを鵜呑みにしてティカルを恐れてしまいました。

もちろん他の大臣たちが、事実を伝えようとしましたが、あの大臣のひどい怪我の前では、何を言ってもティカルのほうが不利です。 

内々にそれを聞いた王様は頭を抱え、王妃はがっくりと項垂れました。
そして、ひとつの決断を下したのです。

次の日、王様はティカルの部屋に向かいました。

「お父様…、昨日は、ごめんなさい」

ティカルは、自分でもあんなに乱暴なことをしてしまったことが恐ろしくて、膝をかかえてベッドのすみにいました。
そんなティカルの頭を撫でて、王様は静かに言いました。

「ティカル…、プラム王のもとへ行きなさい。

この国では、悲しいことだがお前のことを外見で判断する者がいる。そして一度起こってしまったことは、もうなかったことにはできない。

新しい場所で、心からの友人や、大事な人を、自分自身で探すんだ」

「お父様・・・、でも、さ、寂しいよ。
この国ならお父様やお母様がいます。でもプラム王のところは、誰も味方がいないんだもの…」

ティカルはそう言ってポロポロと泣きだすのです。しかし王様は許しませんでした。この国に留まっては、ティカルはずっと自分たちの影に隠れて暮らしていかなければなりません。生きてはいけるでしょうが、それでは愛する人を見つけることはできません。

子豚の呪いを完全に解く方法の事は、本人は知ってはいけないので、突き放すしかありませんでした。

ティカルは渋々頷きましたが、昨日に引き続き、この日も大声で泣くことになりました。



ティカルは数日後には、プラム王の待つ隣の国へ向かうことになりました。

「兄さん…、気を付けて」

馬車に乗ったティカルに弟のファファがすまなさそうに握手してきます。ティカルはまだ本心では、この城を離れたくなかったのですが、これでファファが助かったのだと思うようにして、無理矢理笑顔を作りました。

「ファファ、お父様とお母様をよろしくね」

「はい。兄さん…、先に謝っておきますね。ごめんなさい」

「え?」

ファファの言っている意味がわからず、ティカルは首を傾げましたが、ファファはそそくさと見送りの列にもどってしまいました。

王様と王妃とも挨拶を終え、とうとう馬車が走り出します。不安顔のティカルを乗せて。


*****

やっとプラムがでてくるよぃ!

鬼と私、完結しました!


ひゃーっっっっほぅ!!

鬼と私のエロ道中、無事に完結いたしました!
この日記で始めたのはちょうど4年前になるそうです。お付き合い本当にありがとうございます!!

子豚な王子様8



「あなた、何があったの?」

騒動はすぐに王妃にも伝わり、ティカルを探していた王を廊下で見つけ、走り寄りました。
王様が悔しそうに会議室での話を聞かせると、王妃は口を覆って「何て酷い…」と目に涙を浮かべました。

「あ、あの、王様、お妃さま…」

そこに女の人の声がかかります。おどおどした様子の侍女、ピテです。

「ティカル王子はこちらです…」

ピテは今では、ティカルの身の回りの世話のほかに、城の掃除なども受け持っていたため、昔のようにずっと一緒ではありませんでした。しかし偶然、目にも止まらぬ速さで走っていく子豚を見つけ、何かあったに違いないと、慌てて跡を追ったのです。

ピテが案内したのは、ティカルが子豚の姿のときに使っていた、城の奥の部屋でした。

「ティカル?入るわよ?」

王妃がそっと入っていきます。ティカルは、部屋のすみっこで、プルプルと震えていました。短い脚で今にも倒れそうになりながら。

「ティカル、ほら首飾りだ。かけるよ?」

王様が跪いてゆっくりと、それをかけてあげます。すると瞬く間に、ティカルは人間の姿にもどり、わなわなと口を震わせて、泣き始めました。火がついたような、激しい泣き方でした。

「ふ、ひぅっ…ブヒっ、うわぁあ〜んッ」

「・・・ティカル、大丈夫だ。お前を豚の姿に戻すなんて、絶対にしないよ」

「あぁ、あぁ〜んッ、ブヒュッ、ふぇっ、ふぁあ〜ん!」

人間でいえば、もうティカルは大人の仲間入りをしている年です。しかし大事な子供の時期を、子豚の姿で過ごした彼は、まだ完全に心が大人になりきれていないのだと、両親はわかりました。

王妃に優しく抱きしめてもらって、それでもなかなか泣きやまなかったティカルでしたが、やがて泣きつかれて眠ってしまいました。

「怖かったのね…。ティカル」

今使っている部屋に戻されて、眠るティカルを前に、王妃は悲しそうに言いました。そして王様は決意しました。

「呪いを解いてもらえるよう、頼みに行ってくる」

「私も行くわ」



そして二人は、大急ぎで森にある一軒の家に行きました。相変わらず深くフードをかぶった女性は、王と王妃が連れだってきたので驚いています。

「何のご用?」

「ティカルの呪いを解いて下さい」

王妃がまっすぐに女の人を見て、言いました。
しかし彼女は、首を振って拒否します。

「魔法使いの首飾りで、人間の姿に戻れたのでしょう?」

「何かの拍子に外れることもある。もしかしたら、首飾りが壊れることもあるかもしれない。

ティカルは、子豚のままでは泣くこともできないんだ。ひたすら体を震わせて、何を言うことも出来なくて…、」

王の瞼の裏に、部屋のすみでプルプル震えていた子豚が蘇ります。感情を表すこともできず、ひたすら恐怖と戦っていたティカル。
王の必死の訴えに、女の人は少し考えましたが、やはり答えはノーでした。

「私は、あなたを許せないわ。醜いものから、綺麗なものに乗り換えたあなたを。

絶対に、そんなことしないと思っていたのに…。
幸せにしてくれると思っていたのに…」

「幸せにしたいと思っていたんだ。本当だ」

王がそういうと、醜い顔の女の人はキッと睨んで叫びました。

「嘘よ!誰だって美しい者のほうがいいのよ!もう帰って!!」

「嫌だ帰らない!」

王の大声に、女の人は少しびっくりした顔をして、ドアを閉めるのが一瞬遅れました。
その間に、王は話を始めます。

「君は、僕と付き合っている時からそうだった。
私は醜い、美しくない、と。
でも僕は、君の優しさが好きだったし、薬草についてもっと知ろうとする頑張り屋な所も好きだった。

君を幸せにしたかった。自分に自信を持ってほしかった。

…だから、言ったんだ。結婚しようって。

それでも君は、気にしていたね。醜い、美しくない…。
僕は怖くなった。結婚しても、君はずっとそう言い続けるのだと思ったから…。

裏切ったことは、僕が悪い。でもそれは、君の顔のせいじゃない。君の…心のせいだ」

「・・・・・・」

女の人は、呆然と王を見ました。考えたこともありませんでした。
今までずっと、王に裏切られたのは、この顔のせいだと思っていたのです。自分との事は遊びで、結婚も全て嘘だったと信じて疑わなかったのです。しかしそう思う心が、原因だったのだと突きつけられて、口をぎゅっと閉じて、俯き、しばらく黙ってしまいました。

逆効果だったろうか、と王様がハラハラしていると、ゆっくりと女の人は顔を上げました。

「よく…、わかったわ。
私は、顔だけではなく、心も醜かったのね」

卑屈な言い方に、王様の眉根が寄ります。しかし女の人は、ふうと息を吐いて、ずいぶんすっきりした顔で、王と王妃を見ました。

「そうね。私が男でも、私のような女は嫌だものね。
…わかったわ。子豚の呪いは解いてあげます」

二人は「え?」と顔を見合わせました。一瞬、彼女が何を言ったかわからなかったのです。
もう一度言われて、やっと理解しました。

「ほ、本当に?」

女の人は頷きました。しかし、すぐというわけにはいかないと言いました。

「呪いをかけた私でも、あのときの怨念をすべて帳消しにすることはできないわ。

呪いを解く鍵は、王子の強い気持ち。

愛する人を見つけ、想いが通じ合った時、呪いは完全に解けるはずです」 



***** 


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