たまに読み返したりすると、悶絶するほど恥ずかしいですね。ぐはっ
そんなわけで、久しぶりに狼と狐を書いてみたいと思います。
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レソ(狼)
→銀毛銀目の狼、元はロハの弟たちを食べるために近づいたが、なんやかんやでロハと恋仲になった
ロハ(狐)
→金毛青目の狐、母狐が死んで弟妹たちの面倒をみることになった。
弟たちを食べようとする狼に「弟たちが育ったら自分を食べていい」と約束し、狼と生活することに。
ファス、セコ、サト
→子狐。ロハの弟妹たち。
*
「だ、だめですっ
やッ、レソ…!」
イヤイヤと首を横に振る金髪の青年に、銀の髪をした男が伸し掛かっていた。
「何でだよ?もう晩飯も食ったし、いいだろ」
「ま、まだ…っ皆が寝てからじゃないと…!」
恥ずかしいです、と潤んだ目でお願いされると、レソの中は「言うことをきいてやりたい心」と「もっと泣かせたい心」がせめぎ合って、忙しい。
しかし今日は言うことを聞いてやりたい方が勝ったようだった。
「…早くしろよ」
沼での一件以来、子狐たちからはもうすっかり公認なのだし、隠すこともないのではと思うのだが、ロハの恥ずかしがる姿が嫌いでないから困る。
「はい…」
そうやってトロリと笑う顔など、辛抱堪らん大好きだ。
ゴロリと横になって、大きな耳をピクピクさせながらレソは上機嫌で恋人が戻ってくるのを待った。
『レソ、レソ…』
『…あぁ?何だよ』
翌日、幸せそうに寝ている狼の元へ、狐がトコトコと近づいてきた。
『毛繕いしましょうか』
『あー…いい。今度で』
『そんなこと言わないでください。僕がしますから』
んー、と唸りながら観念したように黙ったレソの顔を、ペロペロとロハが舐め始める。
耳や額、前足…、隅々まで綺麗にしていく。
レソはすぐ面倒臭がって自分の汚れに頓着しない。しかしドロ状の土などは、あとになればなるほど固く取れにくくなってしまうので、ついロハは気になってしまうのだ。
『んっ、ん、…レソ、少し口を開けてください』
『あ』
生肉を食べたあとの、血で赤くなっているレソの口もとを、丹念に舐める。
『…』
『…』
『…』
その様子を見つめる6つの目。
ロハの弟妹たちだ。
『狐の姿だから平気なのかな…』
ヒソっと末っ子のサトが呟くと、すっかりロハより大きくなったファスも首を傾げる。
『兄ちゃんにそういう気がないから恥ずかしくないんじゃねぇか?』
昼間ということも、この場合要因になるのかもしれない。
昨日の夜、あんなに恥ずかしがっていたのが嘘のように、ロハのほうから狼とイチャイチャしている。
どう思う?と意見を聞かれた唯一のメス、セコは「うーん」と唸った。
『それよりも私は、レソおじちゃんがそういう気にならないのが不思議で堪らないわ』
彼らの中で、レソは隙あらばいつでもロハに襲いかかってきそうな狼なのだ。
しかし今は、ロハに言われるまま仰向けになって顎の下などを綺麗にしてもらっている。
『くすぐってぇよ。ロハ』
『ダメです。もっと舐めさせて』
愛ってよくわからない。とまだ独り立ちするには少し早い子狐たちなのだった。