カンダタは、生前一匹の蜘蛛を助けていたのでした。あれほど悪いことをしたカンダタも、心の気紛れか、小さな蜘蛛を一匹見逃したことがあったのでした。

…カンダタ?カンダタか?
カンダタだと思う!

ということで、別にそれほどに悪いことはしておりませんが、私の一本の細い糸が機能していて、ありがたい。
あーあ。最近中身が人間に近づいてる。やだなぁ。
だけれど、蜘蛛の糸をありがたいと思うほどに私は人間になりました。
これからも精進してただの人間、一個の動物に近付くでしょう。