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再出発



12月

Kumの離婚から半年が経ち

僕らは 婚姻届を提出した


お互いに再婚同士


式はまだ 挙げていない

色々と 候補は上がるけれど
実行に移す機会を逃している


こう言ってしまうと
Kumに申し訳ないが

ちょっと めんどくさい



新婚旅行だけでも

と思いながら
ずいぶん時間が経ってしまい

新婚と呼ぶには
気恥ずかしい




喧嘩もした


離婚すると
大騒ぎもした



仲良く 毎年ハロウィンの時期にTDLに行く


日常の買い物は
一緒に手を繋いで…




妻は日常 引きこもっている

旦那は浮気




問題は山積




全てを見ないように

でも 無関心にならないように




薄目をあけて






夜 一緒に寝る時が

一番の幸せ


SEXするときは
少し 幸せ


旅行とか
一緒に行けたらと思う

準備の煩わしさが無ければ




これから まだまだ

一緒の時間は永い




Kumと一緒に

きっと

ずっと

夜間飛行



Kumが名古屋
僕が東京

約350キロの遠距離が始まった


最初は お互いに月曜が休みで
日曜になるとKumが仕事終わりに新幹線に乗って
僕に逢いに来た



夜はホテルに泊まり

朝を迎えた




年末

僕はKumとすごす為に
ウィークリーマンションを借りた


二人で 過ごす年末年始は とても甘美なものだった


どこにも出かけず ただ二人抱き合った



朝も昼も 夜も無く


ただ お互いの身体をむさぼった



年始の いつもの友人たちとの「年始会」でHirに

「姉貴とどっか行ったの?」

と訊かれたが


僕らはどこにも行っていない



約2週間 僕らの始めての生活
その雰囲気に 僕らは溺れた






年明け
仕事が始まってしばらくすると
彼女の配置換えがあり 休みが日曜に変わった



土曜の夜に
彼女が新幹線で東京に来て

日曜を一緒に過ごし

日曜の夜
車で彼女を名古屋まで送る


ホテルで一泊

月曜 彼女が仕事に出ると
僕は彼女の家で 少し眠り

昼食を一緒に食べて 東京へ戻った



少しして僕は 仕事を調整し なるべく日曜を空けられるようにした


土曜の夜 高速で名古屋へ



少しでも永く一緒に居られる様に
月曜は夕食を食べてから 東京に戻った





このは遠距離

6月 Kumの離婚が成立して
7月 彼女が退社するまで続いた

まぁ なんだ… うん

僕はNorを疑った



そして初めて

彼女が 他の男と寝ている可能性に嫉妬した




僕は ズルい



それは解っている



彼女に 好きな人が出来て

僕から離れて行くなら



僕は喜んで 彼女の手を放そう




仕事やらなんやかやと


リアルに疲れて 誰かを欲しているのは



彼女だけじゃない




僕だって 疲れる

誰かに居て欲しい


例えそれが 気持ちだけの繋がりでも


妻に無い部分の 穴埋めだとしても




彼女は今

僕から離れようとしている




僕にとっては

妻に無い部分の穴埋めでも


彼女にしてみれば

僕が旦那でないという 穴が大き過ぎた





彼女が 僕の手を放すまで


僕は腕を伸ばし続けようと思う



もうすぐ 彼女の誕生日



行く宛ての無い プレゼント





昨日

仕事の移動途中で 少し寄り道

Mikの実家を見に行った


表札は昔のまま


Mikは元気なんだろうか?

離れゆくキミと 離したくない手

金曜 久しぶりにNorと会った

ひと月ぶり



約束したのは
まだSTDが判る前だった



事前に 症状や可能性を話しておけば
何か違ったのかもしれない



でも僕は

単純な炎症だと思い込んでいたし


余計な心配をかけたく無かった





木曜
検査結果が陽性と出て

翌日会って 彼女に伝えた


病気の内容や
検査や治療法も説明した

そして
僕自身 午前中に薬を飲んで治療が始まっている事を教えた



彼女は冷静を保とうとしてはいたが

無理だった


「一緒に病院に行くよ」

そう言って 一緒に病院を探したが

最終的に 同行は拒否された





「どうせ 病気に掛かってんだからさ 何で今日会って エッチしてからだって良かったじゃん」


彼女の精一杯の強がり



ここしばらくは


久しぶりに逢って
二人で気持ちを確かめあって

エッチして


お互いに

忙しくて以前ほど逢えない淋しさを
身体で埋めてきた



僕自身 薬を服用する前に

「Norと逢ってからで良いじゃないか」

と打算的な事は思ったが
やはり そんな事は出来なかった


「今日はもう帰って」

Norが言う

「病院は? 一緒に…」

「後で独りで行くからいい」

彼女の言葉が 僕の事を遮った











翌 土曜

Norからメールが来た

病院に行った事
検査と投薬をした とあった

検査結果は一週間後


事務的な報告の後に 僕へのメッセージが付けられていた



「Wワークになって
疲れてヘロヘロになって
そんな時 奥さんが羨ましかった

でも ゆうさんの事が好きで

それだけでいいって 思って会ってた


ゆうさん 私 無理だわ
キツい


今は好きって気持ちより 私じゃなくて奥さんを選んだ人

って気持ちが強くなってる

ごめんね」



冷めて 離れる気持ちを

僕がつなぎ止める方法はあるのかもしれない


でも その権利は無い

いつからだろう



ひと月位前に
彼女と逢って 楽しく時間を過ごした


それから一週間位した頃

排尿時に軽い痛みと
尿道に 痛痒い感覚があった


以前にも 仕事が忙しくて
体力が落ちている時に 似たような事はあったから

また 尿道炎か
何日かすれば治るな

と思っていた

これまでも そうやって安静にして治まっていた



ところが 夜家に帰ってみると 僅かに膿が出ている



まさかな…






何日かすると
痛痒い感じも 膿も治まった





なんだ 大丈夫だったじゃん




しかし更に何日かすると


痛痒い感じは無いけれど

膿がまた 出始めて さすがに心配になった



STD? それとも単純な細菌性の炎症?



どっちにしても 医者に行くのが一番だな


と 仕事を早く切り上げて泌尿器科に向かった



「おいたしたでしょ」

医師が冷たく言い放つ


「いえ してませんけど」


この数年
彼女と妻以外との性交渉は無い



その日は 採尿と抗生物質が7日分出た




一週間後

検査結果を聞きに 医者へ


「はい これね」

医師が 勝ち誇った様に検査結果を差し出した



クラミジア(+)



治療薬として 一回服用するだけの ドライシロップが処方された


想像していたよりも 甘い味に驚いた




その晩

妻に結果を伝えた


散々 浮気を疑われるのを覚悟したが

妻は意外に冷静だった




クラミジアは自覚症状が少ないらしいけど

医師が言うには 5年も6年も症状が出ない事は無いらしい


確かに 疲れると 排尿痛があったり

半年ほど前には 精液が赤味を帯びていた事がある


妻も しばらく膀胱炎が治らなかった時期がある


それにしても 一体いつからだったのだろう?


次は 1月後

再検査で陰性になれば治癒らしい

再発は無いけれど 再感染はするとの事


抗体なんて 都合の良い物は 出来ないらしい
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