Kumが名古屋
僕が東京
約350キロの遠距離が始まった
最初は お互いに月曜が休みで
日曜になるとKumが仕事終わりに新幹線に乗って
僕に逢いに来た
夜はホテルに泊まり
朝を迎えた
年末
僕はKumとすごす為に
ウィークリーマンションを借りた
二人で 過ごす年末年始は とても甘美なものだった
どこにも出かけず ただ二人抱き合った
朝も昼も 夜も無く
ただ お互いの身体をむさぼった
年始の いつもの友人たちとの「年始会」でHirに
「姉貴とどっか行ったの?」
と訊かれたが
僕らはどこにも行っていない
約2週間 僕らの始めての生活
その雰囲気に 僕らは溺れた
年明け
仕事が始まってしばらくすると
彼女の配置換えがあり 休みが日曜に変わった
土曜の夜に
彼女が新幹線で東京に来て
日曜を一緒に過ごし
日曜の夜
車で彼女を名古屋まで送る
ホテルで一泊
月曜 彼女が仕事に出ると
僕は彼女の家で 少し眠り
昼食を一緒に食べて 東京へ戻った
少しして僕は 仕事を調整し なるべく日曜を空けられるようにした
土曜の夜 高速で名古屋へ
少しでも永く一緒に居られる様に
月曜は夕食を食べてから 東京に戻った
このは
遠距離
6月 Kumの離婚が成立して
7月 彼女が退社するまで続いた
金曜 久しぶりにNorと会った
ひと月ぶり
約束したのは
まだSTDが判る前だった
事前に 症状や可能性を話しておけば
何か違ったのかもしれない
でも僕は
単純な炎症だと思い込んでいたし
余計な心配をかけたく無かった
木曜
検査結果が陽性と出て
翌日会って 彼女に伝えた
病気の内容や
検査や治療法も説明した
そして
僕自身 午前中に薬を飲んで治療が始まっている事を教えた
彼女は冷静を保とうとしてはいたが
無理だった
「一緒に病院に行くよ」
そう言って 一緒に病院を探したが
最終的に 同行は拒否された
「どうせ 病気に掛かってんだからさ 何で今日会って エッチしてからだって良かったじゃん」
彼女の精一杯の強がり
ここしばらくは
久しぶりに逢って
二人で気持ちを確かめあって
エッチして
お互いに
忙しくて以前ほど逢えない淋しさを
身体で埋めてきた
僕自身 薬を服用する前に
「Norと逢ってからで良いじゃないか」
と打算的な事は思ったが
やはり そんな事は出来なかった
「今日はもう帰って」
Norが言う
「病院は? 一緒に…」
「後で独りで行くからいい」
彼女の言葉が 僕の事を遮った
翌 土曜
Norからメールが来た
病院に行った事
検査と投薬をした とあった
検査結果は一週間後
事務的な報告の後に 僕へのメッセージが付けられていた
「Wワークになって
疲れてヘロヘロになって
そんな時 奥さんが羨ましかった
でも ゆうさんの事が好きで
それだけでいいって 思って会ってた
ゆうさん 私 無理だわ
キツい
今は好きって気持ちより 私じゃなくて奥さんを選んだ人
って気持ちが強くなってる
ごめんね」
冷めて 離れる気持ちを
僕がつなぎ止める方法はあるのかもしれない
でも その権利は無い
ひと月位前に
彼女と逢って 楽しく時間を過ごした
それから一週間位した頃
排尿時に軽い痛みと
尿道に 痛痒い感覚があった
以前にも 仕事が忙しくて
体力が落ちている時に 似たような事はあったから
また 尿道炎か
何日かすれば治るな
と思っていた
これまでも そうやって安静にして治まっていた
ところが 夜家に帰ってみると 僅かに膿が出ている
まさかな…
何日かすると
痛痒い感じも 膿も治まった
なんだ 大丈夫だったじゃん
しかし更に何日かすると
痛痒い感じは無いけれど
膿がまた 出始めて さすがに心配になった
STD? それとも単純な細菌性の炎症?
どっちにしても 医者に行くのが一番だな
と 仕事を早く切り上げて泌尿器科に向かった
「おいたしたでしょ」
医師が冷たく言い放つ
「いえ してませんけど」
この数年
彼女と妻以外との性交渉は無い
その日は 採尿と抗生物質が7日分出た
一週間後
検査結果を聞きに 医者へ
「はい これね」
医師が 勝ち誇った様に検査結果を差し出した
クラミジア(+)
治療薬として 一回服用するだけの ドライシロップが処方された
想像していたよりも 甘い味に驚いた
その晩
妻に結果を伝えた
散々 浮気を疑われるのを覚悟したが
妻は意外に冷静だった
クラミジアは自覚症状が少ないらしいけど
医師が言うには 5年も6年も症状が出ない事は無いらしい
確かに 疲れると 排尿痛があったり
半年ほど前には 精液が赤味を帯びていた事がある
妻も しばらく膀胱炎が治らなかった時期がある
それにしても 一体いつからだったのだろう?
次は 1月後
再検査で陰性になれば治癒らしい
再発は無いけれど 再感染はするとの事
抗体なんて 都合の良い物は 出来ないらしい