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1987 Dec


『何時の頃からか悲しみや、楽しみといった感情の浮き沈みをなくしてしまった。
否、正確に言うとそういった物を表に出すのを避けてきたのかもしれない。』

こんな事を話していたら、目の前の君はちょっと物憂げな目をしながら僕の顔を覗き込んだ。

『少し疲れているんじゃない?』

君はそう言うと、途端にケラケラッと笑った。
しかしそんな君の目の中にも僕と同じ「感情を無くしてしまった淋しさ」を見る事が出来た。

 18の時に大喧嘩をして以来、自分の親とまともに話した事は無かった。
彼女が出来た時の嬉しさも、喧嘩をしてどうしていいのか判らなかった時も、
彼女から「さよなら」を言われた時も・・・・・・
全てを自分の中にしまい込んで誰にも話さなかった。

 22の秋のある日、あても無く家を出た。
車のガスメーターがエンプティーになるまで、走りつづけた。3回満たした燃料が無くなる頃たどり着いたこの街で君と出会った。
この街に住む為に車を売り払い、君にTELした。

 あの日から17年、
真新しい車のサイドシートに君を乗せてガスチャージ1回でたどり着くあの町へ出掛けよう。
僕の親の住んでいるあの町へ。

 そこに全てが、無くした全てが在る筈だから・・・・・

                                         
話題:散文

僕の気持ち 彼女の思惑

クリスマス
もう連絡を取ることは無いと思っていたNorからメールが来た


正直 嬉しかった


仕事どう?

風邪ひいてない?
ノロは?

いつかまた お茶出来たらなって思ってる



そう 返信した




彼女の心境は 判らない

僕の気持ちも あの頃のままではない

好きという気持ちも
裏切られたという気持ちも
憎しみや 哀しみ
安堵に 忘却


どれも 過去の話




新たに 何か築けるのだろうか



今 Norに対する気持ちは
極めて ニュートラルだ

1992 Mar 22



絶望の海溝に希望の雲から雪が降る
失意の深淵に欲望の空から雨が降る
深く  何処までも永遠に深く沈みこむ穴
高く  何処までも永遠に高く広大な天空
僕の巡りを 何時も相反する   奴等の
僕の周りを 何処までも相反する 奴等の
世界を中心に  個人を中心に  他人を中心に
世界が外側に  個人が外側に  他人が外側に
絶望の海溝に希望の雲から雪を降らそう
失意の深淵に欲望の空から雨を降らそう
翼を失った  足が  手が  背中が
何時の日か  翼をとりもどし
雲の中へ  空の彼方へ  かえって行く 



話題:散文

ジャスミンガール



昼下がりの電車
ドア付近で 外を見ていた


駅に近づいて 速度が落ちる

乗車待ちの人々の顔を なんとなく眺めて居ると

ふと目に留まった顔があった


ちょっと困った様な 特徴のある顔



ゆっくりと僕の目の前を通過して
その人は 一つ後ろのドアから 乗り込んできた



つま先で地面を蹴り飛ばし ちょっと跳ねる様に歩く


うつむき加減に 辺りを見回して

トスっと 空いていた椅子に座った



あの歩くリズム
あの視線を送る雰囲気


間違いない Mikだ








髪が伸びたね
色も入れて


黒髪も好きだったけど
その色も とても似合ってる



髪をひとつに束ね

彼女が電車に揺れている



時は流れていても 彼女は変わらない



僕は安堵する




次の駅で
彼女の隣の親子連れが降り

席が空いた



座る人は無い




僕は彼女から
一人分間を開けて

ズサッと座った



その時 彼女が僕を一瞥する




時の流れで

僕は変わった







隣で彼女が 音楽を聴いている

僕は黙って 座っていた




昔もこんなシーンが あったのだろうか



ただ 並んで
二人は座っていた





手を差し出せば 届く
話し掛ければ 応えてくれるだろう



電車が揺れる


一人分の空間で
肩が触れる事はない











やがて電車が 乗換え駅に近づくと

彼女は スッと立ち上がり
独特のステップでドアに向かった




I miss you.


訳すまでもない

ねぇ 君は・・・



唐突に 君に会いたいと言ったら


君は応えてくれるだろうか?





というより

逢いたい



僕は 後悔している
君と出会った事を


もっと 遠巻きに 見ていれば良かった



君に逢って
君をこの手に 抱きたい



そんな事を言ったら
君はなんと言うだろう


もう 会ってくれなくなりそうで




君に逢いたい

君を抱きたい



たとえそれが 刹那であっても
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