【SSS】Go well with rice

 僕にとっては今週2回目のおでんとなるMMPでの大会も順調に進んでいた。先日菜月さんがガラポン抽選会で当てて来た米も少しは炊いてあるけど、おでんと一緒にご飯を食う奴なんか野坂くらいで、他の面々は大体おでんだけで満足しているんじゃないかと思いたい。
 ただ、先日の定例会おでんと比べるとやっぱり毛色がちょっと違うんだね。やっぱり菜月さんの存在が大きいんだけども。菜月さんはとにかく玉子とこんにゃくが好きで、ちくわやはんぺんなんかの練り物も好きだけど、やっぱり玉子とこんにゃくを多く食べているように思う。

「やァー、さすが圭斗先輩、形から入る男は大根の出来が違いヤすわ」
「ん、りっちゃんに褒めてもらえるだなんて光栄だよ」
「自分は村のサ店でバイトをしてるンすが、如何せんムチャ振りでアドリブ料理を頼まれることも多いンす。おでんの注文もまァあるンで作り置き状態になってるンすけどネ?」
「へえ、いいね。日が経つにつれ美味しくなって、さらに継ぎ足し継ぎ足しのヤツかな」
「そーなんスわ」


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【SSS】生きて奏でる音になる

「ぐー……」
「おーい、カン?」
「ずー……」

 うつらうつらと舟を漕ぎながら、カンはスプーンを握ったまま崩れ落ちそうになるのを堪えている。いや、もう半分寝てしまっているし、全然堪えきれていないんだけども。この調子だと授業は完全に寝てただろうし、そもそもこのままだとカツカレーに顔面からダイブしてしまうだろう。危ない。

「おい! 起きろ!」
「ふあっ」
「寝るなら寝る、食うなら食う。どっちかにしろ」
「食う。でもめちゃ眠い」
「また曲作ってんのか?」
「今は〜、作るっつーか、れんしゅ、ふぁ〜わ」
「ああ、音楽祭のな」


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【SSS】湧き出るネタの波に乗れ

「おたま様〜! 大っ変…!」
「どーしたのアヤちゃん、先輩でも見つけた?」
「先輩は残念ながら見つかっていません!」
「じゃあどうしたの?」
「可愛いカップルいた〜、おたま様〜、コピー本作って〜!」

 突然アヤちゃんが「おたま様会いましょ!?」なんて連絡を入れてくるから、絶賛原稿中の部屋に招き入れますよね。部屋に入るなり崩れ落ちたアヤちゃんは、何かいろいろとろけたような顔をして、つやっつやしている。そう言えば、最近は部活の方で忙しくしてたんだっけ。
 アヤちゃんは外に出かける時もいいネタはないかアンテナを張っている。それはうちもだけど、やっぱり活動の基盤が星港市内だから母数が多いんですよね。地下鉄の中とかで見た物を、ニヤニヤして怪しまれないようにスマホを見てる振りしてメモったりしてるんだって。それはうちもよくやる。


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【SSS】What a Wonderful Ride

 本当にたまたまだけど、4限が休講になった。これは天からのご褒美か何かか。ということで、予定よりも1時間半待ち合わせの時間を早める。今日は菜月先輩と豊葦市駅近くにあるホテルでスイーツバイキングの予定なのだ。で、何が俺をそわそわさせるって、今日の日付なんだ。
 今日、12月9日は何と! 菜月先輩のお誕生日! 当然俺がそんな基本的な情報を知らないはずはなく、今日の日にスイーツバイキングにご一緒することになったときには「本当に?」といろいろなことを疑った。だけどもせっかくの機会だし、菜月先輩には是非幸せな時間を過ごしていただきたいと強く思う。
 夕方からスイーツバイキング? とも思うんだけど、このホテルでは今週末までスイーツバイキングに力を入れているようなので、その恩恵に与ることに。だけども悩んだのは、場所がホテルだけに服装問題だ。俺の普段の私服ではいろいろダメだろうと、少し服や靴を新調したりして少し気合いを入れましたよ。


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【SSS】恨みを焦がして根を断って

 今日は、大石君がバイトをしている関係のファミリーセールに菜月と一緒にお呼ばれをした。大石君にとっては年に3回か4回の大きな買い物の機会ということで、とても気合が入っているように思う。とてもハツラツとしていて、いつもより元気と言うか。
 スポーツブランドを主に扱っているセールだそうで、私が普段着る服とは全く毛色が違う雰囲気に、何をどうしようかと考えるのに忙しい。菜月は元々スポーツをしていただけあって、ジャージやスポーツウェアに目を輝かせている。どれがいいかなと見ている様がとても可愛い。

「……2人、お揃い…?」
「本当だ。でも、ネイビーしかなかったんだ」
「うん。このカラーだけたくさん作ってたんだろうね。でも、本当にやっすい。4800円はそうそうないよなっち」

 壁側に出来ていた黒山の人だかりに突っ込んで行った大石君と菜月は、見事にネイビーのダウンジャケットを獲得して帰って来た。それまで人が埋め尽くしていた場所は、全部剥かれて見事に何もなくなり、人も捌けて行った。
 私は白いパーカー、黒とピンクのジャケットにセーター、それから汚れ品だという白いスニーカーを買った。菜月は例のジャケットとニット帽、それからニットワンピースを買っていた。大石君はスウェットを始め、水着に靴にととにかくたくさん。


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