【SSS】バーガーバーガーたまにチーズ

 金曜日の深夜、緑ヶ丘大学4号館の401教室は人でごった返してバタバタしていた。どうして日付も変わろうかというこんな時間に学生がバタバタと走り回っているのか。それは、明日から3日間の日程で行われる文化会発表会という行事のため。
 アタシは今年入学して美術部に入ったばかりだけど、いるなら準備を手伝えと駆り出されている。文化会発表会というのは緑大の文化部が集まって日頃の活動の成果を発表するという、その名前通りの行事なんだけど、新入生勧誘イベントも兼ねているとか。
 美術部は当日壇上で何かを発表するワケじゃなくて事前に制作した作品を展示する。だけど作品の運搬や展示はもう済んでるから、これから手伝うのは全体のこと。でも特に指示がないから教室の中でバタバタ走り回る人たちを眺めるだけになっている。

「あれ、あずみんちゃん」
「あ、関さん。どーも」


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【SSS】MMP Spring Direction

「しかしまあ、難しいね」
「何を優先するべきか、っていう話だろ」

 昔はサークル室や宿泊施設としてしっかりと利用されていた向島大学サークル棟の3階だけど、今では人の出入りが頻繁にあるワケでもなく、大学祭前の大きな作業やちょっとした打ち合わせでロビーを使うくらいになってしまっている。
 閑散として心なしかひんやりとした3階ロビーでうちは圭斗と紙を広げて話し合いをしていた。何を決めているのかというと、5月から始めるMMP昼放送の枠とペアだ。いつだってペア編成には事情が絡む。インターフェイスだろうとMMPだろうとそれは変わらない。
 MMPでは昼休みに食堂で昼放送を流させてもらっている。去年の春までは生放送でやってたんだけど、夏休みの間に機材が変わって生放送が出来なくなり、現在では収録スタイルを採用して。つまり、ペア編成にはオンエア日と収録日の都合が合わなければならないのだ。
 春学期は基本的に2・3年生の活動になる。だから今いるメンバーの履修表やバイトの予定なんかと睨み合いながらペアを組んでいくことになるんだけど……それがなかなか難しい。極力あまり組んだことのないペアで、などと言っていると決まらなくなるくらいには。


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【SSS】取り立て先での籠城戦

「関さん」
「まだです!」
「まだ何も言ってないのにどうして返事が正しいんだ。心当たりがあるなら早くもらってきて」
「はあ〜い」

 緑ヶ丘大学出版部には、鬼がいる。部長の大橋詠斗クンは、とにもかくにも部室の中では厳しくて怖い。そんなだから荒れてるときには部室にいたくないんだよねえ。まあ、早くもらうものをもらってきてと出掛けるよう言われたので、遠慮なくお出かけしますねえ!
 出版部では、月に1冊ペースで部誌を発行している。その内容はタウン情報誌みたいな感じかなあ。緑大周辺のグルメやイベント情報をだったり、緑大の中のニュースだったり。いろんなことを取り上げてる。コーナーの一環として小説やマンガ、おすすめ小説やCDなんかの紹介コーナーもあったりして。
 で、その部誌の表紙は同じ文化部のつながりということで美術部さんにお願いしている。だけど、美術部さんも美術部さんで忙しいのか、締め切りに結構ルーズだったり。表紙データをもらってこいと言われてまだですと返事をする度大橋クンが火を噴きそうになっている。まあ、逃げますよね!


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【SSS】地獄の業火より熱く

「おい! 日高はいるか!」

 物凄い剣幕でミーティングルームに殴り込んで来たのは、朝霞だ。その様子は常軌を逸していると言うのが正しいかもしれない。怒りに打ち震えている、そんな感じ。元々“鬼のプロデューサー”なんて呼ばれておっかないと言われているけど、そんなモンじゃない。修羅だ。
 俺は自分の班、鎌ヶ谷班のブースからその様子をチラリと窺っていた。朝霞の怒号と、その朝霞を挑発するような日高の応酬。幹部系の班だろうと、反体制派だろうと誰も近付けない空気だ。近付いたが最後、流れ弾を食らうのは自分たちだからだ。

「トラさん、どうなってんすか外」
「部でファンフェスにステージを出す件で朝霞がキレたって考えるのが自然だな。朝霞班にその話は伝わってなかったから」
「えっ、マロ先輩、怖いんですけど…!」
「俺も怖い。トラさん、大丈夫なんすか。俺たちも何かされたりしませんよね?」
「大丈夫だ。……とはまだ言い切れないな。とりあえず、しばらくお前たちは外に出ないでここで静かに待機しててくれ」


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【SSS】Beautiful Follow-through

「ホンマ何やの! 確かにボクは向島やよ? しやけどダブルトークの経験なんかいっこもないんやよ! 向島でも出来やんことはあるんやよ!」
「今更文句を言うな、あれはクジ運以外の何物でもなかったじゃないか」
「しやかてやよ、そーゆー時ってフツー対策委員とかダブルトークやったコトある人が「ヒロ代わろーか」とか「ヒロもダブルトーク練習しなアカンやろ」とかゆーてくれるモンとちゃうん!?」
「あーもううるさいなお前は! やったことがあってもなくてもお前の場合は雰囲気でぐだぐだにするんだから同じだ!」
「何やの、オールSのクセに! ノサカにはボクの気持ちなんかわからんのやよ!」
「何故そこで俺の成績が出てくるのか意味が分からない」


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