我ながら、柄にもないなと思う。学内の本屋で見て回るのは大体参考書や学術書。ヒロと一緒にいるときなら観光や音楽と言った趣味の部分も入ってくるかもしれない。だけど、今見ているのはそのどれとも違う。
 それは結構な重量感。重い本にはまあまあ慣れているのだけど、赤紫色をした表紙や、その中身の方が俺にはとても結びつかない。こんなことでもないと真剣に読むこともないだろう花の本を、パラパラとめくって辿り着くのは今日の日付。