「うーん、あっ、また誤字だ」

 赤ボールペンを持ちながらの校正作業が様になるのはさすが菜月先輩だ。ここはもっとこうした方がいいとか、漢字の変換を間違えたとか。サークル室に備え付けの国語辞書を引きながら語句の用法などを確認している。

「菜月先輩、それは何の書類ですか?」
「書類って言うかレポート課題だ」
「印刷されたのですか?」
「ああ。印刷してみないとわからないからな」