「浦和さん、聞いたわよ。柳井と大喧嘩をしたそうね」
「あのクソ男が悪いんです。アタシは悪くありません」

 学内でばったり会った宇部さんは、相変わらず。目つきはちょっと鋭いけど、ちょっとしたことを気にかけてくれて優しい。3年生が部活を引退して以来だから、彼是ひと月半以上振り。
 柳井というのは宇部さんが引退した後に繰り上がりで班長になった2年の男。って言うか新部長。元々あんま好きじゃなかったし、班長になった瞬間マジでって思ったけどなっちゃったモンはしょうがない。そう思ってたよね。
 だけど、それまで浸透してた宇部さんのやり方を根本からひっくり返して全部なかったことにして、俺を敬え的なことを言い出したからカチーンとキちゃった。