「定例会1年クリパー! イエーイ!」
「イエーイッ!」
わーという歓声と、パチパチパチと人数分の拍手が挙がる。とある定例会終わりの夜、これから始まるのはクリスマスパーティー。ちょうどシーズンだからね。
――と、ここまではいいんだけど、どうしてそのパーティーをうちでやるんだろう。まあ、立地の所為なんだろうなあ。星港市内だし、一人暮らしだし集まるにはうってつけですとも。
「本日の会場はミドリ宅でーす! ありがとうございます!」
「ありがとうございますッ!」
「って言うか見事に女子ばっかだね、しょぼーん」
「男子はみんな対策委員に行っちゃって寂しいよ俺」
「ミドリ元気出してハーレムだよハーレムッ!」
ハーレムと言われてもこのメンバーだ。賑やかなのは賑やかだし、寂しくはないけどどう考えても嵐にしかならない。ハナ奈々にユキちゃんにマリン。うん、どう見ても嵐だ。
今回のパーティーはハナナナ企画。どうせならこう、ちょっと遊びたいよねとかいう軽いノリで。ただ、本格的なお泊まりとか飲み会じゃなくて、ちょっとご飯食べておしゃべりするだけ。
お店だとお金もかかるし時間制限だってある。そういうことを気にせずやりたい放題やって何が悪い! 対策委員だってタカティの部屋でやりたい放題やってるんだから定例会だって、とのことらしい。
「てか定例会終わりにL先輩と直先輩いつもどっか行ってるじゃん、付き合っちゃうのかなッ!」
「あー、どうだろうねー。L先輩のクセにやるなあ、しょぼーん」
「おハナ先輩のクセにとか言っちゃってるし」
「てか1年で何かそーゆー面白いのないの!?」
「このメンバーだと発生しないと思うなあ」
「ミドリー!」
「ミドリひどーいッ!」
まだインターフェイスの女子が全然女性とか恋愛対象として見れないとかそういう直接的なことを言ったワケじゃないのにどうして俺が袋叩きに遭わなきゃいけないんだろう。
インターフェイスの1年は女子の方が圧倒的に多いし、男子も恋愛とかそういうのよりも自分の趣味とかその他のことの方に興味が強そうっていう意味で……誰か助けてー、タカティ、エージ、ゲンゴロー!
「だってさ、ゲンゴローは趣味に生きてるし」
「確かに出会うとしても趣味経由っぽそうだね」
「あー、それ言うとタカティとエージはもう夫婦だもんなー、女子の付け入る隙なかったわー、しょぼーん」
「えっ、ハナちゃんそれなに」
ハナちゃんが言うところによると、エージがタカティの部屋に入り浸ってるらしい。だけど、タカティの生活が結構しょぼんな上にエージが神経質だから掃除や洗濯、その他家事を全部自分でやっちゃうらしい。
それを聞いてみんなエージマジオカンと感心しているし、俺もそろそろ家事が辛くなってきてるからそういう存在は本当に羨ましい。1人暮らしの部屋に2人で狭かろうが家事をやってもらえるなら――
「ミドリはタカティサイドに行っちゃダメ! 人としての体裁を保って!」
「そこまで!?」
「タカティの女の子のハードルはエージが上げてるから」
――となると、残る男子は俺だけだということに気付く。そうなれば矢が刺さりまくって微動だに出来ず死ぬ未来しか見えない。俺の背中に守るべきものは……あったかなあ。
「よーし、ミドリの恋バナだー! しょぼーん!」
「これまでの恋愛遍歴でしょー、好きな女の子のタイプでしょー、聞きたいことはいろいろあるよねッ!」
「わーっ! 誰か助けて〜!」
end.
++++
強いて何か可能性があるとすればエイハナじゃないですかね、しょぼーん。そんな定例会1年回。ミドリハーレムで頑張れ。
「タカティの女の子のハードルはエージが上げてる」説www まあでもタカちゃん贅沢言わなさそうなんで自分より出来れば文句ないと思います
IF1年男子で恋バナするならミドリだろうなやっぱ。笑えないヤツだしなかなか口割らなさそうだけど。酒飲ませろ酒を。ハナのお酒が飲めないのかー!