「ぴっぴっぴッ、ちゅんちゅんちゅんッ」
「どうしてピー子ちゃんはこんなに可愛いんだろ」
「ホントだよねミーちゃんッ!」
岡島家の団欒の中心はいつだって手乗り文鳥のピー子ちゃん。うちはみーんなピー子ちゃんを可愛がってて、大体はピー子ちゃんのお世話をしたりもふもふしたりしてはーもーかわいー!
今日は外に出る予定がなくて、同じように家にいる姉ちゃんも一緒にピー子ちゃんを愛でている。岡島家の休日は大体こんな感じ。だけど問題が少し。
「ねえ知ってるミーちゃん」
「ナニ奈々」
「世間の人って文鳥のかわいさを全然知らないんだよッ…!」
「あー、それは知ってる。嘆かわしい、実に損してるよねッ!」
こうなるとMMPでの度重なるピー子ちゃんスルーに対するグチが積み重なっていく。スルーだけならまだいいけど極悪の2年生の先輩たちはピー子ちゃんの羽を毟ろうとするモンだから!
ワザと焼き鳥焼き鳥って連呼された日にはもーう爆発ですよッ! りっちゃん先輩以外の2年生の先輩は本当に極悪だから! 動物を愛する心なんて持ち合わせてないんですよ!
「あー、それマジコロ」
「だよねッ!」
「ウチでもさー聞いてよ奈々」
「ミーちゃんの方でも何かあった!?」
ミーちゃんがたまに部活に顔を出したときのこと。後輩が水鈴さんピー子ちゃんは元気ですかーなんて振ってきたから興味あるのかなーと思ってその日の朝撮れたてのピー子ちゃん動画を見せてあげたんだとか。
そしたらそのプロデューサーがミーちゃんに何て言ったか! 「ピー子ちゃんのことを聞いたのは今日はいい天気ですねとかと同じ挨拶であって、特に動画を見たかったワケではない」だって!
「それは悪質だわ」
「でしょう」
「うちも毎回違う動画を見せてるのに、それはもう見たって言って誰も相手してくれないんだよねー」
「あー、わかる。あー! ピー子ちゃんがくるくるーって!」
「かわいー! ケータイ! カメラーッ!」
お母さん特製のちっちゃいおざぶの上でちゅんちゅんって回るピー子ちゃんマジで可愛い! そのかわいさが止まんなくてミーちゃんと一緒にカメラを向けるけどピー子ちゃんは回ってくれない。
また同じように回ってくれないかなあとカメラを向け続けるけど、今度はおざぶの上で丸まってる。これはこれで可愛い。と言うかピー子ちゃんの存在がマジ天使!
「よし、一旦停止。奈々、もし風邪とかひいて寝込んでるとするでしょ」
「うん」
「ピー子ちゃん動画で元気出るよね」
「起きれるかどうかはともかく超テンション上がる!」
「よねー!」
「それも何かあった?」
「夏だけど、暑さでダウンした子にお見舞いでピー子ちゃん動画見せてあげようとしたらさっき言ってたPからピー子ちゃんで元気になるのは岡島家だけだからやめとけって言われてさあ」
きっとそれはミーちゃんだけじゃなくてうちがMMPでやろうとしても同じように言われてるはず。それどころかMMPなら焼き鳥食べたら元気になるって言われるに違いない。マジブチコロ。
「そのP何もわかってないわ、無能もいいトコだ」
「鳥は鳥でもつばめ派だろうからなあ。なんちゃって」
「つばめ先輩的な? 星ヶ丘だけにみたいなこと?」
「そうそう星ヶ丘ジョーク」
「わかりづらッ!」
とか言ってたらまたピー子ちゃんがおざぶの周りをちゅんちゅん回り始めた。そして向けるカメラ。岡島家の休日はこの繰り返し。だってピー子ちゃんが可愛いのが悪い。年末年始はずっとピー子ちゃんと遊ぶんだー。
end.
++++
岡島姉妹がただただピー子ちゃんを愛でるだけの話。ここだけ天国みたいなそんなアレ。きっと年末年始はこんな調子である。
鳥は鳥でもつばめ派だの無能Pだの言われたい放題の朝霞P、今回も何故かとばっちりを食らっている。かわいそうに。
ちなみに、水鈴さんの言ってた夏に暑さでダウンした子というのはかの話の圭斗さんのことである。うん、圭斗さんじゃピー子ちゃんで元気は出ないな。