先週、バイト明けにベティさんから誘われるまま何の疑問も持たず今日の日を迎え、指定された場所に出向く。その場所というのがベティさんの家、厳密に言うなら大石家。
 弟の大石君が案内してくれた部屋には、お内裏様とお雛様の2体しかない、質素ながらも美しいお雛様が飾られていた。それを見て、今日はそういう日だと思い出した。

「福井ちゃんいらっしゃーい」
「こんにちは……これ、ベティさんの私物…?」
「そうよー、こないだ遠出する機会があってー、ちょうど時期だったから買っちゃったの。どーおー? 綺麗でしょう」
「すごく……」