緑ヶ丘大学には食堂や購買が複数あって、昼食時にはどこも人でごった返す。俺は第1学食のこともあれば第2食堂のテイクアウト丼のこともある。だけど、捨て難いのは第1学食2階の量り売りだ。
 グラムで何円という風に決まっていて、後は何を盛ろうが自由。白い飯もタッパーに詰めて売られている。和洋中、いろんなジャンルのおかずが揃うし、何気にここはお気に入りだ。

「高崎ー、俺先レジ並ぶわー」
「おう」

 一緒に来ていた飯野はたこ焼きだの唐揚げだの茶色い物ばかりをタッパーに盛り、白い飯のタッパーを手にしてそそくさと長い列の最高尾についてしまった。
 俺はと言えば、日や時間によって変わるおかずの中から当たり群を探して少し右往左往。俺が今日狙っていたのは筑前煮。こんなことでもねえと煮物なんか滅多に食わないからだ。それにここの煮物は美味い。