3限が終わってサークル室に向かうと、入り口の前で何やら高崎が工作をしているようだった。口には、いつも喫煙所でするように黒い棒が咥えられている。違いはそれが煙草であるか、釘であるか。

「高崎、おはよう。何やってるの?」
「よう岡崎。見ての通り、日曜大工だ」
「うん、それはわかるんだけど」

 言うよりも実際に見た方が早いな、と高崎は組み上げていた木の板をサークルの表札に提げた。その板には、極太の油性マジックで録音中と書かれている。特徴的な、丸みを帯びた高崎の文字。