今日は向島インターフェイス放送委員会で開かれている初心者講習会。各大学の1年生が集まって放送のあれこれについて教えてもらったり、実際の番組を聞いたりする会らしい。
部活ではそんな風に思わなかったけど、周りに座っている1年生は女子が多い気がする。星大の中教室を縦半分に割ってアナウンサーとミキサーに分かれて座っているけど、男子の姿は数えるほど。
俺を含めた星ヶ丘の1年生は集まって集合したけど、みんなは教室の後ろの方で何となく陣取ったみたいだ。でも、せっかくのイベントなんだからもっといろんな人と話したい。
教室の真ん中より前の方、ミキサー側に男子がいたから近くに行ってみる。メガネをかけたジャケットの子。アナウンサー側にいる金髪っぽい子と楽しそうに話している。
「おはよーございますー」
「あ、おはようございます」
「おざっす」
「ミキサーですか?」
「はい、俺はミキサーです」
「俺はアナだべ」
メガネの子の隣に何となく近付いて、声をかけてみる。大人しそうと言うか、落ち着いた雰囲気がある。金髪っぽいアナの子はハキハキとした印象。話を聞くと、2人とも緑ヶ丘から来ているらしい。
緑ヶ丘と言えば、シゲトラ先輩とマロ先輩の話で聞く限りはインターフェイスの雄とも言えるラジオの大学。今日のミキサー講師も緑ヶ丘の先輩らしいし、この2人ももういろんなことが出来るんだろうなあ。
「俺は中津川栄治で、ミキのメガネが高木。そっちはミキか?」
「あ、俺は星ヶ丘の源吾郎、ゲンゴローって呼んでもらえると嬉しいんだけど、星ヶ丘ってまだ厳密なパートが決まってなくって」
「へー、そーなんか」
「お世話になってる先輩がミキサーだからこっちでもミキサーで出てみようと思って。でも女子ばっかりだし。男子がいてほっとしてる」
「俺も。ゲンゴローが声かけてくれてよかったよ」
「高木君て何かあだ名とかあるの?」
「DJネームはタカティっていうんだ」
「そうなんだ、よろしくタカティ」
タカティは見た目がクールっぽいし口数の少ない子なのかなと思ったけど、単に人見知りらしい。同じ緑ヶ丘のエージが話をうまく回してくれて(さすがアナウンサーだ)、場が盛り上がる。
周りでは女の子たちも大学間交流が盛り上がっているみたいだ。だけど、教室の後ろの方に陣取る星ヶ丘勢はいつもの部活で見る感じ。まあ、他校の人もあの星ヶ丘ゾーンには突っ込めないだろうなあ。
「わー、男子がいる、よかったー!」
「おー、来い来い」
髪のハネた丸眼鏡の子がバタバタとやってきて、それをアナウンサー側でエージが迎えた。丸眼鏡の子は、星大のミドリだと自己紹介してくれた。会場がホームだから油断して、開始時間には間に合ったけど寝坊は寝坊だと。
ミドリはとても人懐こいタイプで、先に顔を合わせていた俺たち3人の輪にとけ込むのも一瞬だった。ただ、タカティの真後ろにいたキツそうな女の子から目覚ましをかけなかったのかと叱られてたけど。
時間は刻一刻と講習会の開始時刻に近付いている。どんな講習があるのか、どんな番組が聞けるのかが楽しみだ。さっそく他校に友達も出来たことだし。
「それでは、時間になりましたので初心者講習会をはじめます。はじめに、技術向上対策委員会議長、向島大学の――」
end.
++++
1年生のインターフェイスデビュー、その中でも今回はゲンゴロー(と言うか男子)に注目してみました。こうやって集合してたのね。
主な1年男子はこの4人だけど、まあぶっちゃけタカちゃん以外コミュ力めちゃ高いんでwww 特に問題ありませんでしたね……
こうやって喋ってた場をきっとつばちゃんが見てたんだろうなあと思うと後の朝霞班の運命を左右する大きな出来事だったんだろうなあ