この時期は一応大学付近に戻ってくるようになっているらしいイクは、いつものように肉うどんを啜っていた。トレーの上にはいつもと同じ、海苔で巻かれたおにぎりもある。

「ん、ウノひはひうり」
「イク、相席いい?」
「いーお」

 目いっぱい頬張ったままそう返事をして、イクはひとつ横の席にズレた。って言うか比較的言いやすい“ユノ”とすら言えてないし。
 空けてもらった、より暗い方の席に腰を下ろして改めて箸を割る。俺のトレーの上にはいつもと同じ味噌ラーメン。美味しいか不味いかと言えば、可もなく不可もないそれ。