「今日はボクの誕生日やよ!」
盛大に祝ってくれてええんやよ、と主賓は参加者に盛大な拍手を求めている。そして、拍手を止める際にはパン、パンパンパンと少し懐かしのあれ。みんなの手拍子が揃えば、やってみたかってんよね、とご機嫌だ。
「やァー、主賓だからって好き放題スわァー」
「今日の何が凄いって、このテの集まりに律がいることだろ」
「それですね、間違いありません」
今日はヒロの誕生日で、インターフェイスの2年生が集まってそれを祝う会が行われている。同時開催は23日生まれのつばめを祝う会。
とは言え、今日は21日ということでヒロの誕生日当日。2日後のつばめより自分が主役であるという意識は強いようで、まあ、どう見ても調子に乗ってるよな。
ただ、先述の通り今日の集まりには律が参加している。出不精の律が。青女からのお誘いも「や、自分行かネっス」とぶった切る律が! ヒロの誕生日を祝う会にいるだなんて!
「ま、言ってもヒロすからネ」
「ヒロの何が律を動かすのか、俺には意味がわからない」
「そりゃ野坂ならそースわ」
いつものように、どことなくテンションの上がり切らないのがMMP。何を隠そうこの会も青女主動のいつものパターンのヤツ。つばめを祝う意味合いもあるから多少マシではあるけど。
他校の面々も今日の回に律がいることを不思議に思ってたり驚いてたりするけど一番驚いてるのは俺とこーただし、どうしてそんなことになってんだと聞かれても答えられない。
「野坂! 次プレゼントあげるのアンタの係だから」
「ええー……そこは啓子さんがあげた方がヒロは喜ぶはずだけど」
「ここは親友の野坂があげるべきでしょ」
有無を言わせない啓子さんに綺麗な包みを渡されれば、引くに引けず。下衆い顔をしてにやけているこーたは腹を思いっきり掴んで振り回してやった。
俺はヒロと同じ学科で、行動を共にすることは多いけど親友になった覚えはこれっぽっちもない。俺がいつもどれだけヒロに振り回されているかみんな知らないんだ。
俺がそんなことを思っているとも知らず、ヒロはみんなからちやほやとされて相変わらずご機嫌だ。いつもこうやら扱いやすいのに。
「みんなに祝ってもらえてボクは幸せ者やよ!」
「やァー、それならよかっタよカった」
「りっちゃんもこう言っとるよ!」
「よかったですねヒロさん」
「こーたウザいよ」
「どうしてそうなるんですか!」
「まあアレやよ、こーやってみんなに祝ってもらえとるんは元をたどればノサカのおかげやね」
は? パードン?
「ノサカがMMPに誘ってくれとらんかったらこんなに友達出来とらんと思うんやよ」
「野坂さんさまさまですね」
「そうやね、それは感謝しとるよ」
「ま、単位的な意味でも今後野坂は大事にしてやるこッた」
「ホンマそれ」
耳を疑っている。まさかヒロがそんな風に思ってくれていたとは。しかしそんなヒロに対しては俺は何て事を思っていたんだとは思うがあれはあれ、これはこれだ。
まあ、問題は単位的な意味どうこうというところだけど、今日は聞かなかったことにしてやろう。野坂さまさま、それに対する肯定の返事がこんなにも嬉しいとは。
「それでは、プレゼントの贈呈です。ヒロとつばめ、前に」
まあ、今日はめでたい日だし、大目に見てやろう。この包みを投げつけてやらないことをありがたく思いたまえ、友よ。
end.
++++
盛大なヒロ誕。今年のヒロはいつもとはちょっと違う……と思いたかったけどやっぱりヒロはヒロでした
ヒロ誕ということでりっちゃんもいるよ! この話ではお飾り程度の扱いだけどノサ神はただただビビってるんだぜ…!
そして向島以外の人は大体ノサヒロが親友だと思ってるよね! ニコイチなノサヒロ、そう見えるけど実際は……テスト期間に明らかになる、かもしれない