「ともちゃーん! ともちん!」
「ああ、千尋。おはよう」
「ともちんクマ落としたよ、はい」
「あー、ありがとー! いつ落ちたんだろ」
「今だよ今」

 千尋が拾ってくれなかったら、車の鍵につけてるクマを落としたことに全然気付かないままスルーしてるところだった。もしこれで無くしたことに気付くのが帰りだったら……うわあ、大変だ。
 後ろから追い付いてきた千尋と一緒にサークル室に入れば、まだ誰も来ていない。そりゃそうだ。部屋の鍵は俺が借りてきたんだから。席について、手元に置くのはクマと車の鍵。