「石川」
「ん?」
「ひとつ、お前に聞きたいことがある」
「自称今世紀最後の天才サマがまたどうした」

 自称は余計だ、というところまでのテンプレート通りに進めたところで本題へ。どうやら、この住所不定男が珍しく外に出た時に気になったことがあったらしい。

「服には様々なデザインがあって然るべきだと思うが、オレにはどうも理解出来んことがある」
「デザインの分野は俺に聞かれても困るぞ」
「いや、大した話ではない。英語等の外国語がプリントされた服を着ている連中は、その意味をわかっているのかと思ってな」
「なるほど。そう言われれば」