アイツを探す時は、駐輪場か喫煙所。それが一番早い。今にしても、うっすら立ち上る煙の方に、ほら。

「高崎。待たせたか」
「いや、そんなに待ってねえ」

 授業が終わって、待ち合わせ時刻ちょうど。高崎はうちの姿を確認して、手にしていた煙草を吸い殻にした。始まるのは、これからどうするという話。
 ここは向島大学のスクールバスが回る駅で、ノサカとか、電車通学の学生はここをよく利用している。普通に考えれば高崎がこんな場所にいることがおかしい。
 去年ほどではないにせよ、たまに連絡は取り合っていた。その流れで、久し振りにご飯でも食べないかという、たったそれだけのこと。