「ねえねえノサカ、何かおるよ!」
「え?」

 サークル室に向かう廊下の隅、こっちこっちとしゃがみ込んだヒロが一体何を見つけたのか。ヒロのことだからまーたロクでもない物かもしれない。俺を陥れる罠の可能性もあるな。

「ねえノサカ、これってアレやん? ほら、アレ。足6本やから昆虫やよね」
「クワガタじゃね? めちゃ小さいけど。ふあー、いるモンなんだなー、大きいのはもっとカッコいいんだろうなー」
「クワガタ!? やっぱここ山やね! でも建物の中にも入ってくるモンなんやね」
「まあ、山だしなあ」