サークル室の鍵が開いていたからそのまま中に入ってみると、タカシが一心不乱に練習をしているようだった。机の上にはきっとキューシートがあるのだろう。波を書いているようにも見える。
 電気もつけていないし、よほど集中しているのだろう。声をかけるのはもったいないような気がしないでもないけど、一応俺の存在はアピールさせてもらおう。

「あっ」
「タカシ、暗いとこで物書いてたら目悪くなるよ」
「あ、伊東先輩おはようございます」