サークル活動の一環としてやってきたのは家電量販店。さて、目指すはオーディオ関連コーナー……と思いきや、俺の思っていた放送サークルの家電ショッピングとはちょっと違った。
「あれっ、ヘッドホンとかを見に来たんじゃないんですかー?」
「何言ってんだミドリ、その買い物にアナは要らないだろ」
「うっ、ツカサ先輩ヒドいですよ事情も説明してもらってないのにー!」
ツカサ先輩から、たこ焼きは好きかと聞かれて素直に好きですよーと答えたのが昨日のこと。すると間髪置かず、明日福沢さんを1人財布に入れて集合、と現在に至っている。
そしてやってきたのが家電量販店だから、放送サークルの買い物だしヘッドホンとかコンポとかスピーカーかなって思ったら、周りには炊飯器やホームベーカリーや何かがいっぱい。
家電とか機械が好きでついてきたらしいアオも、最近の調理家電はいろいろ出来るんだなあと説明書を読み読み楽しそうにしている。でも、どうして俺がここに連れてこられたのかがまだなんだ。
「俺がたこ焼きを好きなのと、この買い物って何か関係あるんですかー?」
「今日の買い物の本題はたこ焼き機だから」
「えっ、たこ焼き機?」
「学祭でベビーカステラもどきの店をやるって言っただろ。試作や練習をしないと上手く出来ないだろうから」
「それと俺に何の関係が」
「ミドリの家をUHBCの拠点にさせてもらおうかと」
「えー!?」
そんな話が水面下で進んでいただなんて! 確かに俺は最近サークルに毎回出席してるワケじゃないから話が飛び飛びになってても文句は言えないんだけど、えっ、拠点!?
ちなみに、サークルに来れていない理由はバイトに入ってるから。春山さんと林原さんがバンドの方で忙しそうにしてるんだよなあ、冴さんも自由だし、烏丸さんもまだ不慣れ。繁忙期じゃないのが救いだ。
「えっ、それじゃあたこ焼きが好きかっていうのはたこ焼き機を買うためですか!?」
「厳密には大学祭の後で無駄にしないためかな。ミドリがたこ焼きを好きなら自分の部屋でも作れると思って」
「それを俺の実費でですか?」
「サークル費からも少し補助は出るけど、少しだから」
否応なしにたこ焼き機を買わざるを得ない状況になっている。部屋を拠点にされるのは一人暮らしの宿命のようなものなのかもしれない。そんなようなことを春山さんが言ってたし。
「インターフェイスの1年で集まってたこ焼きパーティーでもすればいいと思う。ミドリが幹事で」
「アオ。簡単に言うけど」
「激辛ロシアンたこ焼きとか闇たこ焼きとか、うん、いいね。ミドリ、学祭後はよろしく」
「アオ〜、もー」
諦めてたこ焼き機を選ぶことにした。たこ焼きを自分で焼いたことはないけど、好きだし。機械があると言えば誰かしらが作ってくれるかもしれない。遊びの要素も高い体験型家電だもんね、たこ焼き機って。
「本当にサークル費で補助が出るんですねツカサ先輩!」
「少しな」
「よーし、選ぶぞー!」
「あ、ミドリがノった」
end.
++++
ちー「え、たこ焼き機? たこ焼き用の板がついたホットプレートならあったのに」とかってなりそうなUHBCの買い物話。
多分UHBCは例年3年に幽霊が多くて当てにならないので2年生が中心になってやってそうだな。
って言うかリン春が忙しくしてるとミドリにいろいろ回って来る情報センターの選手層の薄さwww ダイチはともかく冴さん何やってんのwww