学生の本分である勉学。部活が終わってそれにも目をやれるようになる。ゼミ室で一緒になった先輩は卒業論文を書くのに忙しそうにしていて、来年の今頃は俺もこうなるのかなって。
 書いている途中の論文を読んでみてくれないかと一旦プリントアウトしたそれを受け取り、目を通す。気になったことは論文の内容でも、誤字脱字でも。何でも指摘していいとのことで右手には赤ペン。

「はー、読破!」
「洋平、どうだった」
「裕貴さん、これ論文での主張は一貫してる体ですよね」
「ああ」
「2章と3章が矛盾してるんですよね。4章以降でそれを結びつけて落とすつもりだったらスミマセン。あと誤字脱字に関しては途中赤で書いてます」