この頃は暑かったり寒かったり意味がわからない。いや、わかるけど意味がわからない。今日は少し寒い。サークル棟に着いて思うことは、何かあったかい物が飲みたい。
 あまりの寒さに何故か購買でチョコも買ったし、あったかい飲み物と一緒に齧るチョコレートは格別だろう。ま、とりあえずサークル室に荷物を置いてからにしよう。
 自販機のある談話室から出ようとすると、カカカツカツンと硬質な音が響く。階段の前には菜月先輩。音の正体は菜月先輩の履いているブーツのヒールか。

「菜月先輩おはようございます」
「何だ、ノサカか」
「そんなところで何を?」
「……何でもない」

 そう言って菜月先輩はカツンカツンと音を立てて階段を上っていく。俺もそれを追うように1段1段歩を進める。MMPのサークル室は205号室。えっと、鍵、鍵っと。