今年も例によって親戚への挨拶に疲れた浅浦がうちに避難してきている。俺は床に寝そべり、浅浦は本を読みつつサッカーやら駅伝やらをだらだらと見ている、そんな正月だ。
 浅浦の家は結構親戚が多くて、正月や何かになると一族みたいな人がずらずらと挨拶をしに来る。さすがに元日は静かだけど、その分2日になるとすっごい。どうすごいかって言うと、ヤバい。

「はー……帰りたくねー……」
「浅浦、お前相当ガチだな」
「朝からひたすら挨拶して酒の相手だろ。未夏は友達と初詣行くとかって早々に逃げやがったし」
「そんな状況で逆によく逃げれたな」
「程々に酒が飲めない体を装ったんだ」
「なるほどな。酔って気分が悪くなったフリか」
「そういうことだ」