「わー、りっちゃんの部屋、いろんな本があって楽しいなー! ねえりっちゃん、読んでいい?」
「どーぞ好きなだけ」
「やったー」
やァー、ワケわかんねースわ。別にナシだとは言わないンすけど、例年に比べると何割か増してヤすよね、騒々しさが。
年末、帰省して来ない冴を連れ戻しに派遣されたら、何かなりゆきで冴のバイト先の先輩までくっついて来た。ま、自分の保身のためにセット買いした的なコトなんスかね。
それから何故か烏丸サンもうちに泊まっていて、バイトが入る頃になったら冴と一緒に星港まで戻るらしい。ま、自分はともかく他の家族が割とすんなり受け入れたのは驚きやシたわ。
「りっちゃんていろんな趣味してるんだね。あ、お笑いのDVDだねこれは」
「そースね。ジャンルに関わらず気になったらっつー感じで」
「へー。でも小説が多い感じだね」
「そースね」
どうしてかはわかんないンすけど、自分がやたら烏丸サンから興味を持たれてるような気がするンすよね。冴との関係もよくわかンねーし、それは別にどーでもいーけど妙は妙スから。
見るもの見るもの珍しいのか、とことん無邪気って言うのが適してるンすかね。ただ、どこの家にもあるような物にも驚いたり感激したりするモンだから、琴線とかツボがよくわからない。
「烏丸サンは動物とか植物とかそーゆーのに興味があるンすよね」
「厳密には遺伝子とか生殖とかかな」
「へェー、じャ培養したりなんかするンすか」
「実験はやるよ」
「自分には想像も付きヤせんわ」
今は冬だから動物も植物も少ないけど、あったかくなればこの辺じゃいろンな動物が出るしいろンな花が咲いて、木々も生い茂る。水辺にもいろンな生き物が出ヤすよと紹介すれば、烏丸サンはすごいなあと関心する。
あったかくなったらまた来たいなあと、網とカゴはあった方がいいかななんて装備の確認。確かに、山浪エリアでもここは山間部。星港じゃ見られない自然がたっぷりスからね。
「情報センターじゃ生き物の話に付き合ってくれる人があんまりいないからさー、りっちゃんが話聞いてくれて嬉しいよ俺」
「やァー、割とどんな話でも聞くには聞きヤすよ。自分の知ってる星大の先輩には、虫がスゴい好きで詳しい人もいヤしたネ」
「へー、俺が知らないだけでいるんだね」
生き物と言えば坂井先輩も結構アレな虫好きシたからね。高崎先輩と一緒にアレはなかなかついてくの厳しいスわ、とかって話もしてたンすよね、ファンフェスの時に。まあ、それで本は少し買ったンすけど。
「リーツー、風呂空いたー」
「服着ろ」
トコロも状況もお構いなし。風呂上がりで服も着ないままうろつくのは冴の悪癖以外の何物でもない。
「冴ちゃんって家でもこうだからスゴいよねえ」
「むしろ家以外でもこうなんスか」
「でもみんな冴ちゃんが着替えてても何も反応しないし問題ないよ。ねえ冴ちゃん」
「ねー烏丸サン」
「この露出狂が」
「あァ!? なンだテメーリツ、ギタギタにすっぞ」
「おう冴、やれるモンならやってみろィ、あァ!?」
「えー、ケンカやめてよ冴ちゃんりっちゃん! ほ、ほらりっちゃん、冴ちゃんのおっぱいは平和のシンボル! さわってさわって!」
「や、結構ス」
「じゃあ代わりに俺が。はー、これこれ。手に吸いつくようなおっぱい。さすが冴ちゃん」
これをテンプレのようにやってのけるお二人サマに聞けば、星大の情報センターでは結構こんなノリらしい。つか星大の情報センターって奇人変人揃いってガチすわ。
「よし、それじゃありっちゃん一緒にお風呂入ろー」
「や、自分一人で入りヤすんでお先ドーゾ」
end.
++++
妙なのに気に入られちゃったなーって感じのりっちゃん、新年が明けても狂気vsラブピは続いてました。
そして一触即発のラブピvsラブピ、冴律の姉弟ゲンカなんかも勃発しつつ、冴ちゃんのおっぱいは平和のシンボルとかいう情報センター理論をぶち込むダイチ……
実際多趣味でいろいろなことに手を出すりっちゃんではあるので生き物などに関する話自体は割と興味深く聞いてるんだろうなあ