「春山さん、このクソ忙しい時に何を考えている」
「てっとり早く捌けるならここかなと思った」
「歩く場所もなくなったではないか」
「それはお前たちが分配して持ってってくれりゃあ解決さっ!」

 決まった。そう言わんばかりのドヤ顔と、何らかの効果音を伴って突き立てられた親指が異様に腹立たしい。この繁忙期に本当に何を考えているのだこの人は。
 事の発端は、事務所内を埋め尽くす無数の箱だった。それをせっせと運び入れているバイトリーダーさま。それがコピー用紙であるならオレも手伝った。しかし、そのような感じでもない。
 ケースの側面には外国語が躍り、何やら写真がレイアウトされていた。これを見るに、箱の中身はプレッツェル。焼き菓子の一種である、あれだと推測出来る。