「あイテっ。いたっ、ここもやってるー、もー」

 ザー、と水の流れる音が心地いいけれど、その間に混ざるちーの声が少し怪しい感じ。食器洗いをしながら指先とか手を気にしてるのを見ると、そういうCMかなって思ったりもする。
 今日はちーの家にうちで作りすぎたおかずを持っていったらそのままごちそうになっちゃって、今は片付け中。手伝おうとしても、自分の家のことは自分でと心に決めているちーがアタシを流し台の前に立たせてくれない。

「ちー、手大丈夫? あかぎれ?」
「ううん、バイトでちょっと切っちゃってたみたい」