久々に立ったのは、この家の前。一応、名目としては「実家」に当たるその家だけど、住んでいたことはほとんどなく、向島エリアに引っ越してからはお盆とお正月に何日かいたくらいで。

「あ、実苑おかえり」
「茉莉奈。ただいま帰りました」

 僕のことを出迎えてくれたのは、姉の茉莉奈さん。去年の春に親が再婚をした結果、同い年の姉弟という関係になったばかりです。ただ、“さん”とつけると怒られるので、茉莉奈と名前で呼んでいます。