「……野坂、エクトプラズムが出ているようだけど」
「聞いてください圭斗先輩、今の俺は生きているだけで精一杯です」

 野坂が疲弊した表情なのは今に始まったことではないけれど、それ以上に少々悩ましい雰囲気を醸していた。学内で偶然会ったのも何かの縁だし、話くらいは聞いてやることに。面白いネタかもしれないし。
 話によると、先日、菜月さんがお忍びで向島に戻っていたらしい。野暮用(と言うか就活の準備関連だろう)で大学に足を延ばしていたようで、そんな彼女と偶然会った野坂はその日彼女と食事をし、一夜を共に過ごしたらしい。