建物の前は、黒山の人だかり。胴上げされている人がいたり、写真を撮ってる人がいたり。星ヶ丘大学の卒業式が行われたこの現場で、俺たちには待っている人がいる。これは公的なイベントなのか、はたまた自主的な行動なのか。
 少し遠くに目をやれば、見覚えのある連中が輪を作っていた。放送部だ。出て来た4年生を1人ずつ全体で見送りつつ、やっぱり班員が中心になる。それを横目でかわしつつ、俺たちは俺たちの待ち人を見逃さないようにしなければならない。放送部の輪は、俺たちに関係あるようで関係ない。

「朝霞クン、眉間が大変なコトになってるヨ。う〜ん、なかなかこの人混みの中から雄平さんをピンポイントで探すのは難しいネ」
「そもそもこっしーって卒業式来てんの?」
「来てるはずだ」
「はい朝霞サンレッドブル。そこで宣伝カーの姉ちゃんからもらったんだけど、朝霞サンのが需要あるっしょ」