最近は、図書館に籠ることが増えた。大学の図書館のこともあれば、大学近くの図書館のこともある。そんでもって星港市の図書館のこともある。今日は緑大の図書館だ。緑大の図書館には、自習用の個室がある。その個室を借り切ってひたすら勉強に次ぐ勉強。
 手元に置いておきたい本を探して、それっぽいコーナーへ。足の裏で、ここが図書館であることを改めて思う。これはカーペットと言うのか、絨毯と言うのか。コロコロか掃除機で掃除をするのが適した布地の床。わざとバタバタ歩かない限り、足音は吸収される。

「よし、見つけ――」

 一冊の本に手を伸ばした瞬間、手と手がぶつかる。驚いて、別の手の主の方をチラリと見れば。
 ……見なかったことにしよう。幸い奴の手は引っ込んでいる。隙を見せた方がわりィっつーことだ。目的の本を手にすれば、本棚に用はない。個室に戻るだけだ。