夕立などという趣のある響きでは済まない大雨を、ゲリラ豪雨と呼ぶようになって久しい。警戒水域を超えただの床上浸水がどうしたなどとメールが入るということもなくはない。
 年に一度か二度は星港市もこのような豪雨に見舞われ、どこのビルが浸かったとか、地下鉄が止まっただのと全国ニュースでも報道される事態。台風などが近付くと、休講にならんものかと淡い期待を抱くこともある。尤も、今は夏季休業中だが。

「一雨きそうだな」
「台風が、増えた……」
「そうだな。今年は台風の発生が遅かったそうだが、ここにきてラッシュか。このまま最盛期に突入すれば、何度ここに足止めを食らうかわからんな。食料と飲料水の確保は済ませとかんとな」