何とも信じがたい目覚めだ。俺の左手は菜月先輩の左手に取られ、そして先輩の右手は俺の額に置かれた濡れタオルの上にある。現在時刻を確認しようにも、身動きの出来る状態ではない。
 昨日、電車を派手に乗り越しまくって番組収録に3時間弱も遅れてしまった。いつもなら駅で次のスクールバスを待てないと判断すると大学まで走る。それが出来る体調ではなかったこともあって、素直に25分後に来るバスを待ってしまったのもある。