「あ〜、さむい〜」

 風が吹くと寒いなって思う感じになってきた。俺の地元と比べると向島は暖かいらしいけど、それでも冬に近付くと寒い物は寒い。センターの事務所は暖房がついているだろうからきっと楽園。さーて、バイトだーっと。

「おはよーございますー」
「来たか川北」
「……さむっ! 林原さーん、暖房ついてないんですかー?」
「今朝、空調が故障したそうでな。冷房や送風は機能するが暖房にならんのだ。業者は明日来るそうだから、今日は我慢してくれ」
「えー、事務所はぽかぽかしてると思ったのにー」