夏休みの間はMMPのサークル活動も休みだ。とは言え、活動が全くないというワケではない。ごくたまに、不定期で行われるサークルは、その日程を覚えているのも一苦労。
ただでさえイベントごとには遅刻常習で通っている俺だ。いや、遅刻常習というくらいならまだ可愛いかもしれない。もっと酷い域にも達してしまっているというのは俺自身が一番理解している。
「持つべき物は車を運転できる友達だな」
「また随分と人を利用してくれますね、野坂さん」
こーたが運転する白い軽四自動車の助手席が俺の指定席になりつつある。親から週2くらいのペースで借りているというそれで通学することも増えたとか。
夏のサークルにしても定期が切れたし、高い交通費を払うよりは車で行きますよ、とこーたは電車を避けた。そんなようなことを昨日スカイプで話してたんだけどまあ、乗っかりますよね。これで電車で寝過ごして〜なんてことは俺も回避だ。
「そもそもサークルの日時を忘れているというところからして論外なんですよ野坂さんは。昨日私とスカイプしてなかったらどうしてたんですか」
「最近曜日感覚ないんだよな」
「どーせ昼夜逆転してるんでしょう、バイトもせずに、食っちゃ寝からのゲームばっかりの生活で」
「何を言う。勉強だってしてる」
「野坂さんもメタボってしまえばいいんですよ」
「残念だなこーた、俺の腹は筋肉だ」
食っちゃ寝にゲーム、そして勉強。まあ大体それが俺の夏休みの過ごし方ではある。対策委員の会議や夏合宿の班打ち合わせが堕落するのを防いでくれていたけど、それも終わって残念なことに。
こーたも昼夜逆転現象が起きているようではあるけれど、奴はバイトにも入っているし、曜日感覚は失っていないと得意げに話す。夏は稼ぎ時であると鼻息を荒くして。
「と言うか野坂さん対策委員の会議はどうしてるんですかそんな調子で」
「まあほぼ毎回遅刻して女子に捻られてますよね」
「議長の立場が完全にないじゃないですか」
「そんな物、俺が遅刻癖を持ってなかったところで存在するワケがない」
「どういう開き直りですか。まあでも、確かにそれは否定しません」
本当にあなたって人は、とこーたからの説教が始まるけどそれを軽く聞き流す。と言うか、箱物の乗り物で座っているとどうにもこうにも眠くなってくる。ふわあ、と大きなあくびをひとつ漏らせばまたこーたがチクチクチクチクと文句を垂れる。
そもそも昼夜逆転している現状で昼1時半集合のサークル、そして車の助手席という環境で眠くならない方がどうかしている。昼夜逆転してなくたって俺が助手席で爆睡しなかった例なんてないじゃないか。――というのも心で論じ。
「ちょっと野坂さん! 聞いてるんですか!」
「あー、きいてるきいてる」
「野坂さんこんな状態で電車に乗ったら軽く2往復くらいはするんじゃないですか?」
「否定はしない」
「否定しなさいよ。まったく、こんなダメ人間でも顔さえよければある程度許されるのが本当に腹が立ちますね。このイケメン詐欺!」
こーたの野次をBGMに、意識は遠く上の方。大学が近くなったら起こせと一言、おやすみなさいの一礼を。大体、俺がダメ人間なのは今に始まったことじゃないし、それは俺自身が一番理解している。
「大学に着いても車の中に放置しますからね! 蒸されてしまいなさい!」
end.
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対神崎のノサカがwww 完全にダメ人間なんだけどwww まあこれはこれでありかなwww
とまあ、ノサ神はこんな感じでいいと思うんだ。ノサカ実際マイペースだし。B型だもんな!(全国のB型のみなさんごめんなさい)
もちろんこんなにぐだぐだなノサカの姿は神崎車の中ばかりなので、他の人に言ってもあまり信じてもらえないよ!